千日前のエレベーター(大阪府) | コワイハナシ47

千日前のエレベーター(大阪府)

エレベーターその一(大阪市)

『新耳袋』第一夜第十七話に〝千日前のタクシー〟という話を紹介した。

昭和四十七年にたくさんの犠牲者を出した「千日デパート」の大火災。その後もいろいろな話が取材できた。

Eさんという女性があるショッピングセンターに就職した。

ここは、その千日デパート跡地に出来たものだ。

ある夜、仕事を終えたEさんは九階の従業員用のエレベーターの扉の前に立って、上がってくるのを待っていた。

と、エレベーターの中から、ざわざわと人の話し声がする。

(あれ?これ従業員専用のエレベーターなのに?)

やがてエレベーターが九階に着いた。確かに大勢の人の話し声が聞こえる。

扉が開いた。

誰もいない。

(あれ、気のせい?)

中に入って1Fのボタンを押す。

(やっぱり人がいる)

目には見えないが、周りに人の気配と話し声がする。

(どうしよう)

と思うが、ドアは閉じてエレベーターは降りはじめた。

声、息づかい、そして周りを人に囲まれている感触が肌に伝わる。

(早く一階に着いて、着いて)

と祈るような気持ちでいると、エレベーターが停まった。見るとまだ八階だ。

扉が開く。

真っ暗なフロアが眼前にある。

人の気配が動いた。目には見えないがエレベーターから出る人、入る人がいる。

(何でこんなとこで停まるのよ!)

あわてて〝閉〟のボタンを何度もガチャガチャと押す。

扉が閉まる。

動き出す。停止。七階のフロア。扉が開く。やはり真っ暗な売り場があるだけ。

また人の出入りする気配。扉が閉じる。そして六階にも停止……。

扉が開く。五階。ここで警備員が乗り込んできた。その途端に人の気配はすっと消えて、一階まで停まらずに降りたという。

翌日、売り場の先輩にうったえた。すると、「ここ、そういうこと珍しくないから」とあしらわれた。

エレベーターその二(大阪市)

これも同じ従業員用エレベーターでのこと。

ある人が仕事を終えて、九階でエレベーターを待っていた。

ここには従業員用と荷台用の二機のエレベーターがある。その荷台用のエレベーターが先に着いた。

(これに乗っちゃえ)と、思っていると、中に男女二十人ほどの人がいる。

(あれ?何でお客が乗ってるの?)

前にいる女性が《千日デパート》と印刷してある紙袋を持っていた。

動けないでいるとそのまま扉を閉じて、降りて行ったという。

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