髪の樹(千葉県) | コワイハナシ47

髪の樹(千葉県)

千葉県に住むYさんの家の庭に、以前、不思議な樹があった。

樹の根のあたりに、髪の毛が生えていたというのだ。まるでそこに、人の頭が埋まっているかのように、もっさりと。抜こうとしても、まるでしっかりと樹に根付いているかのように、抜けなかったという。

ところが奇妙なことに幼い頃から祖父に注意されていたのはこの髪ではなかった。

「この樹には絶対触ってはいかんぞ」と、祖父に、いつも樹に対してだけ注意されていた。

ある年、台風が直撃するというので、Yさんの父親がこの樹を守ろうと枝に登って針金や添え木で補強した。すると突然、家族全員がものすごい頭痛に襲われた。

「もしかしてあの樹に触ったからだろうか?」

あわてて父親は、樹から針金や添え木を取り払うと、家族全員の頭痛が噓のように引いたのである。

この樹の由来が、Yさんの家に伝わっている。

Yさんの家系は遡さかのぼると、室町時代から続く武家なのだそうだ。その証あかしに、大小の日本刀が家宝として伝わっている。

代々の家の長おさがこれを受け継ぐ。そして月に一度、必ず丁寧に手入れをしなければならない。もしこれを怠ると、家族全員がものすごい熱に冒されるのである。

またこの刀を、この家より一歩たりとも持ち出すことは禁じられている。持ち出そうとした人は、この家から出た途端、ものすごい頭痛に襲われてそこに倒れてしまうと言われている。

ただ、家の長が刀の手入れさえきっちりと行ってれば、家族は安泰だという。

刀は、昔、合戦で大勢の血を吸ったと伝えられ、手入れを怠ると刀に黒い曇りが吹き出してくる。それは斬られた人の血だと伝えられている。

庭の樹も同様で、殺された人たちの無念の思いが、樹の下の髪の毛となって現れていると伝えられる。

その樹も、Yさんの代になってなくなったらしい。

その詳細についてはYさんは口をつぐんだが、刀はまだあるという。

Yさんは家の長として、月一度の手入れは欠かしたことがないそうだ。

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