タクシーの乗客(大阪府高槻市) | コワイハナシ47

タクシーの乗客(大阪府高槻市)

あるタクシーの運転手さんから、こんな話を聞いた。

深夜の十二時を過ぎた頃、京都市内でひとりの女性を乗せた。

「高槻方面へ行ってください」

三十歳前後、色白の髪の長い細身の女。

話しかけてもずっと俯いたまま、何も言わない。

そのうち高槻市内に入った。

「お客さん、高槻に入りましたよ。ここからどう行くんです?」

すると女の口からつぶやくような言葉が出た。

「その先の道を右へ」

ハンドルを右に切る。

「そこをもう一度右へ」

言われるまま、ハンドルを切る。

そのうち、山道に入った。あたりに明かりはなく、月もない夜。

重い闇がタクシーを包み込んだ。

「お客さん、本当にこの道で?」

この先、家があるとも思えない。道も悪くなる。

タイヤが砂利を踏む音だけがする。

二十分は走ったろうか。

「運転手さん、ここで」

ブレーキを踏んで、停車した。

漆黒の闇と静寂……。

「ほんとに、ここでいいんですか?」と、後部座席を見た。

女がいない。

……?

「運転手さん」

車の外から声がする。

あたりをよく見回すとフロントガラスの向こうに、ヘッドライトに照らされた一本の樹が目に止まった。

そこに何かが下がっている。

目を凝らす。

女だ!足が浮いている。

(首吊り!)

その途端、真下を向いていた首がぐにょんと伸びて、

「ありがとうございました」と声がした。

その後、三日三晩寝込んだ。

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