川内(せんだ)ガラッパ(鹿児島県) | コワイハナシ47

川内(せんだ)ガラッパ(鹿児島県)

都内でタクシーに乗った。

運転手さん相手に「奇妙な体験したことないですか?」などと聞いていると「私、鹿児島県川内市の出身なんですけどもね。そこに川内川という川が流れてまして、昔からそこに河童がいるって言われてるんです。それが地元ではガラッパって呼ばれてるんですよ。ガラッパは大きな鳥の声のような鳴き声をするって、聞かされてましてね」と、運転手さんはこんな話をはじめた。

その運転手さんの幼い頃の体験だ。

ある春先のこと。

学校からの帰りが遅くなって、ひとり田んぼの道を家路に向かう。もう日もとっぷりと暮れて、あたりは真っ暗。心細くなりながら川内川へ灌そそぐ用水路に沿った道まで来ると、突然、その先の闇の中から、

ケケケケケケケケケケケケケ!

という、鳥のような鳴き声がした。ただ、鳥の声にしてはやけに大きいし、聞いたこともない鳴き声だ。

声の主はこの先にいるはずなのに、歩けども歩けどもその大きな声の主との距離が縮まらない。そしてまた前方で、ケケケケケケケケケケケ!

道を急ぐ。妙な声が聞こえなくなった。

するとしばらくして、後方の用水路の方から、バシャーンと何かが水に飛び込む音。そしてバチャバチャバチャバチャと何物かが泳いでいる音がする。振り返ってその音のするあたりをよく見ると、月の光に照らされた水面に大きな楕円形の波紋が立っている。何か相当大きなモノが流れに逆らって泳いでいるようだ。それなのに水面には何も見えない。

それが川下から上流へ、川の流れをものともせずあっという間に彼を追い越して去って行った。

大きな波紋だけが用水路に残っている。

そしてまた、上流の方から今までにも増して大きな声。

ケケケケケケケケケケケケ!

この道を行くのが怖くなって別の道を通って家に帰ったのだそうだ。

シェアする

フォローする