磯釣り(千葉県 外房) | コワイハナシ47

磯釣り(千葉県 外房)

千葉県外房のある岩場は、魚がよく釣れる場所として有名だというが、一部では水死体が流れつくところともいわれている。

Wさんという人が友だちと夜釣りをしようとこの岩場にやって来た。

まぶしく見えるほどの月夜の晩だった。

いつもはよく釣れるのに、この日に限って何もかからない。

「どうして釣れないんだろなあ」とWさんはぼやきながらも粘っていた。あまりにアタリがないので飽きてくると、まわりが妙に騒がしいのに気がついた。近くの草むらの中をバサバサと音をたてながら、何かが走っている。犬だろうか?ぐるぐるぐるぐる、走り回っている。

(うるせえな)と、草むらを見るが、音の主が何なのかわからない。

「ちぇ」とWさんは舌うちしながら釣り竿の先を見て、また音のする草むらを見ては釣り竿の先を見る。そんなことを繰り返しているうちに、向こうで釣りをしていた友人が、

「おーい、釣れるかあ」と声をかけながらこちらへやって来る。

「だめ」とWさん。

その友人が、さっと表情を変えた。

「おい、こっち来いこっち、早く」と必死の顔つきで口をぱくぱくさせて手招きする。

「?」

「いいからこっち来い」となおも手招く。

「どうした?」

友人のそばまで来ると「あそこ、あそこ」とさっきまでWさんがいた岩場のあたりを指差す。だが、そこには何もない。

「今まで何も気づかなかったのか?」

「そう言えば、あのあたりガサガサバサバサ犬か何かが走ってたようだけど」

「犬なもんか!」

「じゃ、何だ?」

「……とにかく、今日は帰ろ!」

取り付く島もない。

友人に急せかされながら釣り道具を片付けて、車に乗り込んだ。その車内で友人はやっと口を開いた。

「さっきな、あの草むらの中に、人ぐらいの大きさの卵にそっくりな白い丸いものが動き回っていたんだ。それに、人の足が生えている。それがお前の近くをぐるぐる走ってたんだ!」

それは頭も肩も腕もない、殻を剝いた白い卵のようなものだったという。それには確かに足が生えていて、それも間違いなく男の足だったという。卵の部分は光ってボウッとしているのに、足だけははっきりと見えていたそうだ。そんなものがWさんの近くをぐるぐる走り回っていたのだ。

それを聞いてWさんも怖くなり、それ以来二度とその岩場へは行っていないそうだ。

シェアする

フォローする