催眠と宇宙人(千葉県) | コワイハナシ47

催眠と宇宙人(千葉県)

筆者のような仕事をしていると、不思議な体験を遭遇することが多い。当然、幽霊や妖怪がらみの不気味なことがある一方、意外にも宇宙人がらみで、ぞっとする怪談じみた体験をしてしまうことがある。

筆者の友人で「近藤ひかる」という人物がいる。サラリーマン時代に部下だった男で、歳は筆者の一つ下になる。会社を辞めた後、彼は催眠・ヒプノセラピーの勉強を始め、今ではいっぱしの催眠療法士になっており、ネグレクト(虐待)や家庭内暴力によって傷ついた人々の心のケアを行っている

「じゃぁさ、宇宙人にさらわれて記憶が欠落している人の記憶の再現を手伝ってよ」

「いいですけど、そんなことやったことないなぁ」

筆者の無茶ぶりに苦笑いを浮かべながら、彼は承諾してくれた。それは今から五年ほど前の話であった。

その頃、世の中では映画「フォースカインド」の影響により、宇宙人による人類拉致事件に関して関心が高まっていた。筆者も当然そのようなケースを何度か取材したことがあったが、正直100パーセント信じる気にはなれなかった。

「これは本当の話なんですよ」

それより以前、友人のUFO研究家・中津川昴が自らの体験を話してくれたことがあった。中津川はオーストラリア留学中、睡眠時に家屋の壁や屋根を通過して入ってきた宇宙人にさらわれたことがあると言う。

「奴ら昆虫みたいな姿をしているんです。ちょうどカマキリみたいな顔をしていました」

「かっ、カマキリ?」

筆者は素頓狂な声をあげてしまった。いくらなんでもカマキリのような宇宙人などは存在しまい。正直心の中ではそう思った。しかしながら、中津川の話によると卵のように狭い空間に各地からさらわれてきた子供たちが多数入っており、それぞれの適性にあった教育を施されていたと言う。

(そんなSF小説のような話があるものか)

そんな思いが強くなったのであった。そんな経験があったので、映画「フォースカインド」のウェブ番組において「宇宙人に拉致された人の記憶を戻す」と言う企画には、いまいち乗り切れないものがあった。

宇宙人研究家の竹本良の知り合いで、宇宙人に拉致された経験があるという中年のイギリス人男性が近藤ひかるの診療所に連れてこられた。

「この男性の記憶の一部が欠落しています。それを催眠によって復元しましょう」

そのイギリス人男性は日本在住歴が長く日本語を完全に理解できるので、日本語による催眠療法が可能であるらしく、近藤ひかるの催眠療法が始まった。

番組MCの鳥居みゆきと竹本良、筆者の三名は催眠ルームの横にあるリビングで待つことになった。

「ぐあーぐあー、うううう……」

失われた記憶の再現は困難を極めた。被験者であるイギリス人男性は催眠状態でかなり苦しんでいる。そのうち奇妙なことを言い始めた。

「昆虫のような顔をした宇宙人、カマキリに似ている」

イギリス人男性が悶絶しながら宇宙人を描写した。隣のリビングに待機していたスタッフや鳥居みゆき、専門家たちの顔に緊張の色が走った。

「さらわれた人間が卵のようなカプセルに一人ずつ入れられている」

一同騒然となった。

「大丈夫なの? あの男性」

鳥居みゆきがそう言ったことを覚えている。正直筆者も例えようのない恐怖を感じていた。なぜならば、全く面識のない中津川昴とイギリス人男性が同じような体験をしているからだ。

(カマキリのような宇宙人、卵のような小さい部屋に閉じ込められたさらわれた人類、ここまでディティールが一致するものか……)

何とも言えない不可解な気持ちが筆者の胸中に浮かび上がった。

一時間ほど経って、イギリス人男性は憔悴しょうすいしきった顔で催眠ルームから出てきた。会った時はフランクで感じのよかった男性は、魂が抜けたようになっており、付き添いの人々に抱きかかえられるようにして車に乗り込んで行った。

(カマキリに似た宇宙人、本当に実在するかもしれないなぁ)

筆者は霊とは違う種類の恐怖をまじまじと実感した。

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