私も行きたかった(千葉県) | コワイハナシ47

私も行きたかった(千葉県)

山口敏太郎事務所では様々な人物のインタビュー取材を頻繁に行う。中にはとんでもない話をする人物も含まれているが、大抵の人は興味深い体験やオカルトの持論を展開してくれる。

当然、うちの事務所で働いている社員は、少なからずオカルト分野に興味を持っている人間が多い。オカルトにかかわっている有名人にインタビューする時、うちの社員は先を争って同行を希望する。「先生、〇〇さんのインタビューに私も同行していいですか?」「そんな大勢で行くわけにいかないよ。それより君は〇〇の仕事があるだろう」そんなやりとりが、日常的に繰り広げられていた。この書籍に記述された「屋根を歩く人」(P19)という体験談の中に出てくる社員のSは、バリバリのオカルトマニアであり、十八歳の頃から筆者のホームページにアクセスしており、そのまま筆者の事務所の社員になった人物である。

「〇〇さんのインタビュー、亀戸でやるのですよね。私も亀戸天神について行きたいなぁ」

そんなふうにSが言った。オカルトマニアという視点から同行したがっているのは明らかであった。連れて行ってやりたいが、事務所が留守になっても困る。筆者は心を鬼にしてこう言った。

「君は事務所の留守番をやってくれ」

そう言い残すと、筆者はHという他の社員を連れて車で亀戸天神まで向かった。昼間の時間帯だったので道路が空いており、四十分ほどで亀戸天神の駐車場に着いた。筆者が運転した車が駐車場に入ると、インタビュー相手の某文化人がぺこりと会釈をした。

「あー、お待たせしました。山口敏太郎です」

車から降りながら、筆者とHは作り笑顔を浮かべた。すると、インタビュー相手の文化人はキョロキョロしながらこんなことを聞いてきた。

「あれっ、お二人ですか?」

質問の意味がわからない。今度は筆者の方がおどおどしながら聞き返した。

「ええっ、社員のHと僕だけですが……」

するとその文化人は怯えたような顔になり、こんなふうに話を続けた。

「おかしいなぁ。さっき山口さんの車が駐車場に入ってきた時、後部座席に肩まで髪の毛が伸びたおかっぱ頭の女の人が乗っていたんですよ」

この話に筆者とHは愕然とした。運転席には筆者、Hは助手席に乗っていたからだ。

「おかしいですね。後部座席には誰も乗ってないはずですよ」

奇妙な空気のままインタビューは始まった。インタビューを終えて帰路についた時、筆者はHとこんな話をした。

「後部座席に乗っていた女って、Sの事じゃないか?」

すると、Hは無表情のまま答えた。

「肩までのおかっぱヘアーって、彼女の事ですよね」

「つまり、生霊ってことかな」

車の中が静まり返った。そんなにインタビューについてきたかったのか、筆者はそう思いながら車を船橋市へと進めた。

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