寝ながら会話する男(千葉県) | コワイハナシ47

寝ながら会話する男(千葉県)

Nさんと筆者は二十年来の付き合いである。まだ、筆者がオカルト研究家として無名だった頃から、その友情は続いている。彼女は類まれなる霊感の持ち主であり、不可解な現象を数多く体験している。

四十代の彼女は、現在千葉県内の某所に住んでいる。ボーイフレンドと同居しているのだが、そのボーイフレンドの周りで奇妙なことが起こるという。彼は自分には霊感などないと主張しているが、どうも霊を引き寄せる性質を持っているらしく、たびたび奇妙な現象を引き起こしてしまうそうだ。最初、Nさんが異変に気がついたのは昨年(二〇一七年)の夏であった。夜中に女の声が聞こえた。就寝中のNさんは目を覚ましてしまった。

(おかしい、女の声がする)

室内のどこかから女の声が聞こえてくる。しかし、何を言っているのかはっきりは聞き取ることができない。

「×□○×□○×□△」

やはり、小さな声で女がぶつぶつと言っている。だが、あまりに小さい声で何と言っているのかわからない。部屋の中のどこからか聞こえてくる。

「×□×□○○△△」

Nさんは、その声が同居しているボーイフレンドの周囲から聞こえてくることに気がついた。

「わかった。うん、そうだね」

驚くべきことに、ボーイフレンドは寝言でその女の声と会話していた。

「○○×□×□△△」

「そうなんだ」

女の声と寝言で会話を続けるボーイフレンド。あまりに不気味な光景を見て、目をそらすようにしてNさんは布団をかぶって寝てしまった。翌朝、ボーイフレンドに

「誰と会話していたの?」

と問い詰めてみたが、

「いったい何の話?」

ボーイフレンドは全く覚えていなかったという。その数ヶ月後の二〇一七年冬、また奇妙なことが起こった。深夜、Nさんが眠っていると、また不気味な声が聞こえた。今にも消え入りそうな女のか細い声だ。

「悔しい、悔しい」

悲痛な女の声が聞こえてくる。薄暗く静まり返った室内、起き上がったNさんは周囲の様子を注意深く伺った。

「悔しい、悔しい」

女の悲しげな声は繰り返し聞こえてくる。

(どこから聞こえてくるんだろう)

よく耳をすますと、その声が聞こえてくる場所がわかった。それは────ボーイフレンドの鼻の穴だった。ボーイフレンドが大きく息を吸い込んで、鼻の穴から息を吐くのと同時に女の声が聞こえる。

「悔しい、悔しい」

何度聞いてもそのように聞こえた。鼻息が女の声に聞こえたのだ。

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