引きずり女(千葉県) | コワイハナシ47

引きずり女(千葉県)

都市伝説で「引きずり女」という話がある。学校でいじめにあっていた女の子がある日、トラックに轢かれて亡くなってしまう。その後、その死んだ女の子が現代妖怪の「引きずり女」となって、いじめっ子を次々に襲い復讐するというストーリーだ。この妖怪の恐ろしいところは、ターゲットにした人物の足を持って引きずりまわし、肉の塊になるまで引きずり続けるという点だ。

都市伝説の妖怪というものは、基本創作上のキャラクターである。だから実際に目撃される事はほとんど無い。しかし、架空のキャラクターを見たと主張する人はたまに存在する。前話で紹介した、筆者と親しいスピリチュアルアイドルの疋田紗也さんは、学生時代に八千代駅のホームで飛び跳ねる「まっくろくろすけ」を目撃したと証言している。本来「まっくろくろすけ」はスタジオジブリが創作した架空のキャラクターである。しかし、霊感の強いものが見れば架空の存在であっても、似たような存在を目撃することが可能なのかもしれない。

かつて、筆者は事務所の女子社員たちと、「引きずり女」とおぼしき不可解な存在を目撃したことがある。

その日はイベントか何かの後だったと記憶している。筆者は、かみさんと女子社員三人を車に乗せて、それぞれの自宅まで送っていくことにした。車内では、いろいろおしゃべりが飛び交い、和やかな雰囲気であった。助手席にはかみさん、後部座席には三人の女子社員が座っていた。

「おいおい、静かにしてくれよ」

女性が集まると、どうしても賑やかになる。筆者は苦笑いしながらハンドルを握っていた。船橋市北部を走っている時、不可解な物体を筆者は目撃した。

「あれはなんだ!?」

思わず筆者はつぶやいた。車の左前方に女がいた。髪を振り乱した女は、道路の上で何かを引きずっている。重いものだろうか、両手を伸ばし懸命に引っ張っている。

「……やばいな」

車は女を避けるとそのまま進行した。筆者は唖然として言葉を失った。

「今の女はなんだろう?」

「人を引きずっていたんじゃない?」

女子社員たちが騒いでいる。車内はちょっとしたパニックになった。

「引きずり女じゃない?」

後部座席に座っていた女子社員たちのうち二人が、その不気味な女を目撃していた。

「確認しよう」

筆者は車をUターンさせて現場に戻った。仕事柄このような現象に当たった場合、確認しないと気がすまない。

「やめてええ!」

後部座席の真ん中に座っており、女を目撃しなかった女子社員が泣き始めた。

「うえっ、えっ、えっ」

しかし、すでに車はUターンしており、もう一度「怪しい女」がいた現場に戻っていた。この間かかった時間は、わずか三十秒程度だ。

「おかしい。誰もいないぞ」

周囲を見渡す筆者。

「社長、よく調べてください。この辺に女がいるはずです」

車内は怖がって泣く声と、目撃した様子を口々に叫ぶ声で騒々しい。

結局、筆者や二人の女子社員が目撃した「怪しい女」の正体はわからなかった。

「あのようなものを、引きずり女と呼ぶんだろうなぁ」

筆者はそう思った。その後、「引きずり女」を目撃した二人の女子社員は、事務所と揉めて退社した。見なかった社員は、今も事務所に残って活躍している。その社員とは、「十四代目トイレの花子さん」である。

魔物を見てしまった二人は、心を魔物に支配されてしまったのであろうか。

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