首なし塚(千葉県船橋市) | コワイハナシ47

首なし塚(千葉県船橋市)

鳥居みゆきさんが出演していたウェブ番組は、当時流行っていた「フォースカインド」という宇宙人による人間の拉致を描いたフェイクドキュメントと連動したものであった。

「この映画は派手に宣伝したいんです。もう二箇所ぐらい心霊スポットにいけませんかね」

ダルマ神社に行くだけで、いい加減嫌な気分になっていた。正直行きたくなかった。

「はぁー、では、八幡の薮知らずと首なし塚にしますか」

「首なし塚……いい名前ですね。そのコースにしましょう」

スタッフは小躍りした。

「首なし塚」とは筆者が付けたネーミングであるが、この場所は以前から目をつけていた。船橋市に合併されたエリアであり、とある村の外れに該当した。この場所では村の規則を破った者が首をはねられたと伝えられており、ごく限られた地元の人間しか知らない心霊スポットであった。このスポットには名前がなかったので、筆者は仮に「首なし塚」と呼んでいた。

以前、夜中に車で首なし塚まで移動し、ウォーキングをしてみたことがある。だが、歩いていると背後を何者かにつけられて、嫌な汗をかいたことがあった。

「オカルトダイエットとして本にしてみようか」

筆者の酔狂な発言に社員たちは呆れ返った。

「先生、夜中の十二時に心霊スポットでウォーキングとは、正気の沙汰ではないですよ!?」

「あぁ、すまない。今後はそんな無茶はしないよ」

それから数日後の撮影当日。千葉県出身のスピリチュアルアイドル・疋田紗也さんと、彼女の所属事務所のD社長も取材クルーに加わっていた。

「すごい女性の念が感じられます」

疋田さんが土地に残る残留思念を読み取り始めた。彼女は霊感が強く、土地に残る怨念や人間にまとわりついているオーラを見ることができるのだ。筆者と社長は、やや撮影クルーとは離れて立っていたと記憶している。ちょうど撮影が終盤に差し掛かった時、

「ええっ……」

筆者と社長は、ほぼ同時に歩みを止めた。筆者の目には信じられないものが映った。上半身だけの白いヒトガタが動いた。

真っ白に発光した上半身だけの白いヒトガタが体を硬直させ、猛スピードですべるように移動した。しばし沈黙が続いた後、

「今のなんですかね? 社長」

「山口さんがわからないことは、僕にはわかりませんよ」

社長も筆者も不思議そうな顔をして首をかしげた。残念ながら、この時は別角度の撮影をしており、カメラはこの物体を撮影することができなかった。

「人間の力ではないな。なめらかにスムーズに真横に移動した」

その日は不可解な気持ちになり、一晩中眠れなかった。

それからしばらくして、社内のプロモーションビデオを撮影するために、首なし塚の真横に建つ神社に行った時、珍しいものを発見した。

「珍しいなぁ、藁蛇だ」

神社の御神木にまとわりつくような感じで藁蛇が巻きついていた。その蛇の目は確実に首なし塚を捉えていた。

「結界だったのか!」

筆者は全てがわかったような気がした。村外れに封印されたもの、藁蛇が威嚇していたもの、筆者とD社長が見たものは「封印されたもの」そのものだったのだ。

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