不謹慎な友人(千葉県市川市) | コワイハナシ47

不謹慎な友人(千葉県市川市)

筆者の高校時代からの友人であるT君は、妖怪や幽霊を全く信じない。それはそれで構わないのだが、神社や仏閣に対してもあまり敬意を払わない。

「こんなもの拝んだって、効果ないよ」

T君はいつもそんなふうに冷めた物言いをする。そんな人物だが、なぜだか高校時代から妙に気が合い、関東や東北の史跡や聖地を共に車で巡っていた時期があった。

今から二十数年前、真夜中にT君と一緒に市川市の「八幡の薮知らず」を訪ねたことがある。鬱蒼と生い茂った木々が敷地からはみ出ている。夜よるの帳とばりもすっかり降りてしまい、異様なオーラに包まれていた。

「将門公ゆかりの史跡で将門の影武者が埋まっているとも、将門の本陣の死門に当たるとも言われているよ」

筆者がそう説明すると、T君はニヤリと笑って伝説を否定した。

「馬鹿な話だ。だから誰も中に入らないのか。入ると、どうなるんだ?」

「不吉なことが起こると言われているよ。だから八幡の薮知らずは禁足地なんだよ」

筆者の言葉が終わるか終わらないかのうちに、T君は薮知らずの周囲に張り巡らされた石柱の柵を乗り越えて、中に侵入してしまった。

「おい、やめろ! 頼むからやめてくれ!」

必死に止める筆者を余所に、薮知らずの中を自由に歩き始めた。バキバキ! あろうことか、彼は薮知らずの敷地の中に生えている御神木を足でへし折り始めた。

「おい、やめろって!」

筆者がヒステリックになって制止するのを無視して、T君は御神木を五、六本ほど足でへし折った。しばらくすると気が晴れたのか、彼は薮知らずの中から出てきた。

「何があっても知らないぞ」

筆者の言葉にニヤリと笑ったT君の顔は、少し歪んだように見えた。

それから数日後、T君の祖父が死去した。

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