群れる人々(千葉県印西市) | コワイハナシ47

群れる人々(千葉県印西市)

現在は、フィギュアの造形師として活動しているYさんは、平成二十五年のお盆の時期、千葉県の印西市にある某巨大ホームセンターに社員として勤務していた。このホームセンターは画材関連用品の品ぞろえが豊富で、造形師の勉強も兼ねて、ここで働いていたのだ。

日々、作業が遅くまで続き、毎日深夜十二時近くに帰路についていた。自宅は茨城県にあったので、印西市からは一時間ほどで到着する。

「あぁ、疲れたなぁ、今日もそろそろ上がるか」

仕事を終えたYさんは、同僚に挨拶をすると、バイクにまたがり帰路を急いだ。県道を通らず、農道のような道を通った。田んぼの脇の道は、アスファルトで舗装されているものの、車やバイクの姿は全く見えなかった。誰もいない真夜中の田舎道にカエルや虫の音が響いていた。

「えっ?」

Yさんは我が目を疑った。自分がバイクで走っている道の前方に大勢の人の姿が見えたからだ。しかも、全員が白い服を着ている。中には着物のような服を着ている人もいた。さらに不思議な事は、こんな夜中に歩いているのに誰も懐中電灯を持っていないのだ。心なしか、老人が多かったような気がした。

(あの人たち、こんな夜中になにをやってんだろう?)

ライトに照らされた前方の道を、直角に横切るように四、五十人ほどがぞろぞろと横断している。ライトの光で明らかに顔も判別できたが、無表情で無言のまま、ぞろぞろと林のほうに歩いている。

(道を開けてくれよな)

そう心に願いながらYさんは減速した。徐行で少しずつ走っていくと、その行列の手前に来た時、信じられないことが起こった。ササッ、ササッ、

大勢の人たちがまるでホログラムのように動いた。一斉にすべるように動いて道を開けたのだ。その瞬間、Yさんの背筋に悪寒が走った。

(あの動き、生きている人間ではない!)

そう思うとアクセルを握る手のひらに、かすかに汗を感じた。思わずエンジンをふかすYさん。

(バックミラーを見てはいけない! 絶対に止まってはいけない!)

Yさんは必死にハンドルを握ると、その中を爆走して走り抜けた。

後日、その場所に一度だけ行ってみたが、そこには横断するような道はなく、単なる田んぼのあぜ道だけが広がっていた。

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