神無月の神社(群馬県) | コワイハナシ47

神無月の神社(群馬県)

三十代の女性Lさんは霊が見えるそうだ。数年前の十一月、彼女が群馬県内の山にある有名な神社へ行くと、巨大な岩の前に小柄な痩せた老人が身を横たえていた。眠ってはおらず、ぼんやりとこちらを眺めている。くたびれたカーキ色の上着に、色褪せた灰色のズボン、底のすり減った茶色のサンダル──みすぼらしい身なりをした冴えない老人だが、どういうわけかLさんは、神様だ、と直感した。

この時期は旧暦の神無月に当たり、八百万の神々が島根県の出雲大社に集結するといわれている。ただ、実は神無月でも出雲大社へは行かず、地元に残る神もいるのだが、当時のLさんはそれを知らなかった。

「何でそこにいるの?」

彼女が問いかけると、老人はばつが悪そうに胡麻塩の頭を掻いてから、ぺろりと舌を出してみせた。そして姿を消したという。

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