歌舞伎町ナンバーワン(東京都) | コワイハナシ47

歌舞伎町ナンバーワン(東京都)

新宿歌舞伎町の某ホストクラブで現在、ナンバーワンに君臨し続けている翔君には、かつてこの店に入店した当時からずっと勝てない先輩ホストがいた。どんなに頑張って売上を上げてもこの先輩にだけは決して勝つことはできなかった。

というのも、ホスト業界では一番の太客を「エース」と呼ぶが、先輩にもいたのだ。先輩のエースは二十代後半のおとなしい性格の女性で、他県で風俗嬢として働いており、そこで稼いだほとんどの金をこのホストのために使っていた。

エースは毎日のように来る。そのおかげで先輩ホストは四年もの間ナンバーワンの座を守り続けていた。

ところが、エースは店に来なくなった。

働いていた風俗店で火災があり男女五人が死亡し、そのうちのひとりだったという。

出火の原因はわかっていない。

女性が亡くなって二ヶ月ほどの間は働いていた先輩だったが、ある日突然店を辞めてしまった。

プライベートで会うほどの大切な客がそんな死に方をしたことがショックだったのと、何より売上が減ったこともあった。

もうホストはやらない、と言っていたそうだ。

「それ、今から二年前のことなんですけど、実は最近先輩がまた歌舞伎町の別のホストクラブで働きはじめたそうで。この前会ってきたんですけど、近くにいるんですよ、彼女が」

「彼女」とは誰のことか聞いてみると、どうやら亡くなったあのエースのことらしい。

翔君が先輩の家に行くと、突然家具が動きはじめたり、電化製品が勝手に点いたり、まさにポルターガイスト現象のオンパレードなのだそうだ。

当初、翔君は驚いたが先輩はもう慣れたそうで「あの子ならいいよ全然」と、開き直っているという。

ところが怪現象は家だけに留まらず、先輩が客と同伴していると時計が割れたり、女性客のピアスがはじけ飛んだりすることもあるそうだ。明らかにエースがヤキモチをやいていることがわかるらしい。

ただ仕事だけはうまくいっているそうで、店内では決して不思議なことは起こらず、先輩は現在その店のナンバーワンらしい。

「僕もあのお客すごく好きでした。良い子だったんですよ。先輩とその子に会っていろんなこと勉強させてもらいました。感謝してます」

礼儀正しいホストの翔君。これからもナンバーワンとして頑張ってほしい。

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