わらうおじいさん(大分県) | コワイハナシ47

わらうおじいさん(大分県)

父親が転勤族だった山本さんは、もの心がついたころからたびたび引っ越しを繰り返していた。

小学校一年生のとき、大阪から九州の大分への引っ越しが決まり、両親と三人でとあるアパートに住むことになった。

山本さん一家の部屋は二階の角部屋で、周囲は田んぼが広がるのどかな場所だった。

越してきて二週間ほど経った日のこと。

小学校から帰宅すると、ともだちと遊びに行く約束をしていたので自室に背負っていたランドセルを放り入れた。そのまま部屋を出ようとしたのだが、どこからか視線を感じ立ち止まった。

見ると自室の天井から何かが、すーっと落ちてきて、カーテンの花柄の模様に重なるようにウネウネと動いている。

「えっ?なに?」

気になって見ていると、その花柄の模様はだんだんと白髪頭のおじいさんの顔に変化していった。

何が起こっているのかわからず、ただ呆然とそのカーテンのおじいさんを見つめる。

するとそのおじいさんは嬉しそうにこちらを見て、ニタァッと笑いかけてきた。

「うわぁー!」

大声で叫ぶと家を飛び出し、ともだちの待っている公園へ走って行ったが、この日は上の空でまったく遊びに集中ができなかった。

日が落ち、ともだちがそれぞれ家に帰って行くなか、山本さんは一番最後に帰宅した。

家のカーテンの中に、まだあのおじいさんがいるのではないかと思うと怖くてたまらなかったからだ。

家に帰って自室をおそるおそる覗いてみると、カーテンはいつもの花柄に戻っていた。

夕食のときに、両親に夕方見たことを話す。

すると母親がこんなことを言った。

「なに、こわい話?でもそういえば、ここへ引っ越して来たときに上の階の吉田さんへご挨拶に行ったらね、奥さんが変なことを言うのよ。吉田さんがここへ越して来たとき、お子さんが『この部屋、知らないおじいさんとおばあさんがいるけど一緒に住むの?』って言ったんだって。それ、ちょうどあんたの部屋の真上みたいよ。なんちゃって」

母親は笑っていたが、山本さんは恐ろしくて何も言えなかった。

あとからわかったことだが、上の階では以前、老夫婦が生活に困窮し餓死していたところを発見されたのだそうだ。

間もなくして山本さん一家はふたたび転勤となり、そのカーテンのおじいさんの姿もそれきり見ることはなかったという。

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