改名(広島県) | コワイハナシ47

改名(広島県)

Kさんは、赤ちゃんが誕生した時に改名した。

それは、生まれる少し前に、おばあちゃんが知り合いの占い師に命名の相談に行ったことがきっかけだったという。

その時、占い師がご長男だからと言って命名をした後のこと。

「父親には長生きしてもらわないと困りますよね」と妙なことを言いだす。

「先生、何を言うんですか」とおばあちゃんが聞くと、「父親の名前やけどな。悪くはないんよ。でもな、親になったあと突発的に死ぬと読める。だから名前、変えた方がええ」と言う。

「突発的……?」

「そうやねえ、空から大きな大きな鉄骨が降ってきて、本人が何なんにも気付かんうちに潰されて死ぬ、それほど突発的な死や。だから名前変えた方がええ。せっかくお父さんになったら長生きせにゃあ」

いくらおばあちゃんとはいえKさんはその忠告を信じたわけではなかった。しかし熱心なおばあちゃんの説得もあったが何より改名ぐらいで難を避けられるのならば、という軽い気持ちで新しい名をもらった。

しかし、Kさんは例え話にしても空から鉄骨が降るなんて、と苦笑した。

改名して一年ほどした頃、本家のある広島県にどうしても帰らなければならない用事ができた。ところが直前までは予定していた帰省が仕事のスケジュールの関係で出来なくなった。

その日の夜、(予定通りやったら、今頃田舎でのんびりしてるんやろうな)と思いながら、テレビをつけた時にニュース映像がKさんの目にとびこんだ。

広島市内で開催される国体のための道路高架工事現場で、橋桁の梁にするためのH形の大きな鉄骨がジャッキアップされた時に風に煽られて道路に落下し、一瞬にして十一台の車が潰された、というもの。

(鉄骨が空から落ちた!)

そこは、帰っていれば必ず通る道だ。

改名したから救われたとまでは思わないが、何かに守ってもらったからこそ今の自分があるような気がします、と語ってくれた。

シェアする

フォローする