血まみれのウェディングドレス(栃木市) | コワイハナシ47

血まみれのウェディングドレス(栃木市)

昔、栃木市某所に住んでいた潤さんのお話。

そこは田畑に囲まれた長閑な地域で元実家なのだが、番地が他のお家とは異なった書き方で地図で自分の家を見ても田畑になっており、もしかしたら公的には存在しない番地に住んでいたんじゃないかと思っているとの事だ。

潤さんが十八歳の頃の、夏の夜。

自室のベッドで寝ていたら金縛りになって全く動けなり、次第に声も出せなくなってしまった。なんとか声を絞り出そうとしても、掠れ声を絞り出すのがやっとだ……元々、金縛りにはなりやすい体質だそうだが、いつになく体が重く、苦しい。何かが乗っているような、押し付けられているような……いつもの金縛りとは明らかに違った。

睡眠不足の関係かな? と思い、頑張って通常の睡眠になるよう願いもしたが、そんな明白な意識はあるのに、今度は目を開ける事も出来なくなってしまった。暫く抗うと目は開ける事は出来たが、そこが自分の部屋ではないような錯覚に陥り……薄々思ってはいたが何か怪異的なものも感じ、お経を唱えたら少しは違うのでは? と思い、心の中で咄嗟に思い付いた「南無阿弥陀仏」を唱えていると、いつのまにやら通常の眠りに入る事が出来たようだが、こんな夢を見た。

真っ暗な場所を必死に走っていて、何かに追いかけられている……その追って来る者の姿は、全身返り血を浴びたような白いウェディングドレスらしき恰好の、女……泣きながら何かを言ってくるのだが、追われながらなので、聞き取るどころでない。潤さんは必死になって走って逃げた。

はっと目が醒めると、まだ金縛りの状態……そして、嫌な予感がする。

その予感の方へ恐る恐る目をやると……なんと、夢に出てきた血まみれの女が、馬乗りになり、潤さんを見下ろしている。そして今度ははっきりと聞き取れる言葉でこう言った。

「お前が、憎い…… 許せないっ……!」

そして女は、潤さんの首を絞め始めた……掻き毟ってでも剥がしたい筈なのに、身体は依然ぴくりとも動かず、微塵の抵抗も出来ない。

「私が何をしたの……」

そんな潤さんの思いなど少しも聞き入れる様子はなく、女に黙って首を絞められ続けた。

一体どれだけの時間が経ったのか。外が明るくなってきたあたりで、その女は忽然と消え、金縛りからも解放された。全身に冷たい嫌な汗を感じながらも、安堵を覚えた。

あまりにリアルな首絞めに、あまりに明確な意識と、長い時間。

半ば茫然自失の中、鏡を見てみると……なんと、首元に赤い手形が残っており、やはり単なる夢や幻覚ではない事を悟り、ぞっとしたという……。

これが死人にせよ生霊にせよ、誰かにこのような仕打ちを受ける覚えはなく、暫くの間は夜になるのが怖かったそうだ。潤さんはその後、介護職で様々な怪異を体験する事になるのだが、この時の体験は人生で最も恐ろしい体験だった、と語る。

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