クレーム(大阪市) | コワイハナシ47

クレーム(大阪市)

大阪の音響製作会社で働いているEさんが、新しくオープンした千日前にあるショッピングセンターから、エレベーター内で流す音楽の編集の仕事を受けた。

早速、注文に沿った選曲をして納品した。

ところが二、三日して、発注者に呼び出された。

「こんなもん、あかん」と叱られる。

「何かミスでもありましたでしょうか?」

「別の音が入ってるやないか。作り直せ」

(別の音?ノイズ?そんなもの入るハズがない)と納得できない。

いったん納品したテープを持って帰って聞き直してみたが、別の音など入っていない。

そもそもマイクを使った作業ではないので、別の音が入ることなど考えられない。それでもEさんは最初から作業をやり直して、充分に試聴した後、再納品した。

三日ほどたって、またクレームが来た。

「やっぱり入ってるやないか!エレベーターガールが気味悪がるんや」

「そんなハズありません」

同じ作業をして、いろいろなところに納品している。本当に録音過程でのミスであるなら、同じクレームがあるはずだ。しかし今回の仕事に限ってクレームが、それも二度も続くとは考えにくい。

「別の音って、どんなノイズが入ってるんですか」とEさんは尋ねた。

「ノイズやない。女の笑い声やがな!」

エレベーターガールがBGMに混じって女のカン高い笑い声を聞く。はじめは変なお客さんでもいるのかと思ったが、無人の時にもそれが聞こえる。一度聞くと頭から離れなくなり、ノイローゼになると訴える者、怖がってエレベーターガールをやめたいと言う者が後を絶たない。と説明された。

ところが不思議なことに、お客さんからのクレームはないという。

「うちが原因と違いますよ」とEさんは食い下がった。

結局納品こそされたもののそのテープがエレベーター内で使われることはなく、とうとうこのショッピングセンターのエレベーターガールサービスは開店わずか三カ月で廃止された。

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