公衆電話(東北地方) | コワイハナシ47

公衆電話(東北地方)

Oさんが同僚と、車で冬の北陸の山村へ行った時の話。

思った以上に仕事に時間がかかったために、移動しはじめた頃は夜になっていた。

灯りひとつない夜の山道を走っていた。

昼間の疲れからか同僚は隣の助手席で寝息をたてている。

そのうち降り続いていた雪が吹雪になってきた。

暗闇の峠の先にポツンと灯りが見え隠れしている。

なんだろう?と目を凝らしながら運転を続けた。

灯りの正体は、なんと公衆電話のボックスだった。

峠の途中のこんなところに公衆電話があるとは……。

近づいていくと、中に女の人がいるのが見えた。この吹雪の夜に浴衣ゆかた姿だ。

来る途中はもちろん、あたりには旅館どころか民家の灯りひとつない。それに電話ボックスの側にも車一台止まっていない。

おい!おい!見てみろ、と助手席で寝ていた同僚を起こした。

ほら、あそこと、目で合図すると、同僚もぎょっとした顔をして、「Oさん、あれきっと幽霊ですよ」と言う。

何言ってるんだ、そんなことあるわけないだろう!と同僚をたしなめた。

それでも同僚は幽霊だと言ってゆずらない。

Oさんは車が故障した人が助けを求めているかもしれないと、電話ボックスの前をわざと徐行して通ったが、中の女の人は受話器を持ったままピクリとも動かなかった。

ボックスを通り過ぎると同僚は、やっぱり幽霊ですよ、と言う。

いいかげんにしておけ、と同僚をどなってみたものの、Oさん自身も内心気味が悪いと思ったという。

翌日、仕事を終えた帰りに同じ峠を通ったが、途中のどこにも電話ボックスはなかった。

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