緑のタクシー(兵庫県西宮市) | コワイハナシ47

緑のタクシー(兵庫県西宮市)

Yさんの自宅は、西宮市の山の手にあった。

山道から一本脇道を入った突き当たりにその家がある。

ある週末の夜、婚約者が遊びに来た。ベランダから夜景を見ながら、一緒にお酒を飲んでいた。

そのうちお酒がなくなったので、下のコンビニに買いに行こうと一緒に表に出た。

暗い山道を下っていると、うしろから来た強い光で、道にふたりの影ができた。

思わず道端に体を寄せると、その横を一台のタクシーがまっすぐ山を下に走りぬけていった。

暗さでよくわからなかったが、まるで苔こけむしたような緑色のタクシーだったという。

はっと、ふたりは顔を見合わせた。

この道はYさんの家に行くためだけのもので、他の家は一軒もない突き当たりだ。

どこからどうやって来たんだ?あのタクシー……。

しかもこの道は下の山道とT字のように合流しているし、その山道もくねくねと曲がりながら下へと続いていく。まっすぐ下りて行ける道などどこにもない。

ふたりは呆然としながらタクシーの赤いテールランプを見送った。

そのテールランプは一度も曲がることなく、まっすぐ暗い雑木林の中に消えていった。

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