電柱の下(東京都) | コワイハナシ47

電柱の下(東京都)

東京での話。

夕方、Kさんは同僚の運転する車に同乗していた。

京王線のとある踏切で停車した。

遮断機が降りている。

いつもは人や車で溢れている道だが、珍しく周りに人の姿がまったくない。そのせいだろうか、目についたのが、踏切の向こうの電柱の下にうずくまっている女性だった。和服姿でうしろを向いている。膝を抱えているのか、丸くなっている。

「なんだか怖いね、あの人」

同僚がそれを見て言う。

「和服というのがね」

と、Kさんもそう思った。

電車が通り過ぎて遮断機が上がった。

踏切を渡った速度のまま、徐行してその女性の横を通った。

奇妙なことに女性は、こちらに背中ばかりを見せている。

どうやらこちらの動きに合わせて体をずらしているようだ。

背中を見せたいというより、顔を見られたくないのだろうか?

Kさんは同僚に頼んで、すぐ先の交差点を曲がったところで車を停めてもらった。

同僚も気になっていたらしく一緒に車を降りて踏切まで見にいくと、すでに和服の女性はいなかった。

かわりにいつも通りたくさんの人が踏切を行き来していた。

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