臭い(兵庫県神戸市) | コワイハナシ47

臭い(兵庫県神戸市)

神戸での話。

夕方、仕事帰りのKさんが路地を歩いていて、ふっと足が止まった。

向こうの電柱の下に、和服の女性がうしろ向きにしゃがんでいる。

どこか具合が悪いのか、と思って女性に近づいた。

ふわっと風が吹いて、その女性から強烈な腐った肉の臭いがした。

あたりには、臭いの元となるようなものは何もない。

とっさにKさんは何か事件かもしれないと思い、携帯電話で警察を呼ぼうとした。が、どうしたわけか番号が思い出せない。

ものすごい臭いのせいだろうか?冷や汗が吹き出して背筋を流れ落ちる。

しかし和服姿の女性はこのひどい臭いの中、声も出さずぴくりとも動かない。

怖い。

と思ったとたん、腰から下の力が抜けてうしろに二、三歩あと退ずさりした。

まだ、陽もある。何かあればきっと他の誰かが助けるに違いない。そう思って先を急ぐことにした。

しばらく歩いたもののやはり気になる。ちょっと振り返って見ると、さっきの電柱に女がいない。

あれ?と思ったら、すぐそばの電柱の下に、うしろ姿の女がしゃがんでいる。

どうして!

夢中で逃げるように走った。

もう大丈夫だろうと足をゆるめて振り返った。

またすぐうしろの電柱の下に女がいる。うしろ姿だ。

人、人、人、人のたくさんいる場所に行きたい、と遠回りして商店街へ出た。

出てみるとあまりに家から離れたことに気がついて、そこから携帯電話で奥さんを呼び出し、車で迎えにきてもらった。

もう大丈夫だ。

安心してシートベルトをかけた時、「あなた臭い」と奥さんに言われた。

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