バスルーム(大阪府) | コワイハナシ47

バスルーム(大阪府)

タレントのMさんは、毎週日曜深夜のレギュラー番組出演の後、放送局の真向かいにあるホテルに泊まることになっていた。いつも十九階の同じ部屋。

番組の収録が終わってチェックインし、部屋でビールを飲んでそのまま寝ようとベッドに入った。すると、シャワーの音が聞こえる。だがシャワーは使っていない。

おかしいなぁ

ドアの下の隙間から中の明かりがこぼれていて、確かにシャワーの音がする。と、ピシャピシャと身体を洗う音もしだした。

誰かおる!

バスルームまで走ってドアを開けた。

「誰や?」

仕切りのカーテンまで閉まっている。

気配がないので開けてみると、誰もいないのにシャワーからお湯が出ている。

おかしいとは思ったが、シャワーの栓を締めると、その日は寝た。

翌週、番組収録が終わって、いつもの十九階の部屋に戻ってビールを飲んだ。そのまま寝ようとすると、またシャワーと身体を洗う音がしだした。

見るといつの間にかバスルームのドア下から明かりが見える。

今度はそっと近づいてドアを開ける。やはりカーテンは閉まっているのに、開けると誰もいない。しかし、シャワーからはお湯が出ている。

翌週、部屋に入ったと同時にバスルームの無人未使用を確かめた。ところが寝る前になるとまたシャワーの音が聞こえはじめた。

さすがに三週同じ事が続いたとなると、シャワーの調子などという問題ではない。それに身体を洗うこの音は何なんだ!

電話でフロントを呼び出した。

やって来た従業員にシャワーの音が聞こえるだろと、まず念を押した。

「俺、シャワー使ってないねん。それでな、部屋に入った時は明かりも音もなかったんや。ところが寝ようとしたらこれや。だから中に人はおらへんはずやのに、ほれ、人が身体洗いはじめてないか?」

「……そのようですね」

「誰が入ってんねん?」

「えっ?誰ってお客様の……」

「この部屋、俺ひとりや。誰やねん、今シャワー使つこうとるやつは?」

「失礼します」と従業員がバスルームのドアを開けた……。

「なっ。これな、毎週やねん。部屋、替えてくれや」

「はあ……」

従業員がどうしたものかと首をひねっていると、ドン!とものすごい音が部屋全体に響いた。

「何や!」

窓ガラスを外から叩たたいたような音。

外が一望できる窓のカーテンを開けると、ガラスの外側からべっとり手の跡がひとつ。

「見てみい!ここ、十九階やぞお!」

とMさんが叫ぶと、「すぐ替えさせていただきます!」と、あわてて従業員は出ていった。

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