週末ふたりのOLが、夜遅くまでお酒を飲んだ。
ふたりとも店を出てから「終電で帰るから」と家に電話を入れた。
そして、中央線の御茶ノ水駅から終電に乗って武蔵境の駅で一緒に降りた。
週末の終電だけあって同じように赤い顔をした何人かの客といっしょに改札口を出た。
「じゃあね」とそこで別れて、家へ向かう。
駅から家までは十五分。
「ただいまあ」と玄関を開けた。
「何時だと思ってんの!」と、玄関に出てきたお母さんが怒ってる。
「何時って、電話したじゃない、終電で帰るって」
「何が終電よ!始発で帰ってきて何言ってるの!朝でしょ!」
どういうことか?と腕時計を見た。五時……。
「ウソ!五時?」
振り返ると、外の景色が明るい。
自信はないが、帰りは暗い夜道を注意しながら歩いてきたはずだ。
(いつこんなに明るくなったのだろう)
さっき別れた友人から電話が入った。
「うちの母さんにすごく怒られてんだけど、私たち、ちゃんと終電に乗ったよね」という友人の声。
「確かに終電に乗ったわよ」
「なに、口裏合わせてんの!」と怒り心頭のお母さん。
改札を出た時は間違いなく夜だったとふたりは語ってくれた。