映し出される(宮城県仙台市) | コワイハナシ47

映し出される(宮城県仙台市)

仙台市在住の会社員菊池さんの、お母さんによる体験談である。

十五年ほど前の夏のこと。

マンションの窓を開けたまま、眠りに就いていた。

どのぐらい眠ったかも定かでない頃、ふと意識が浮上した。

全身がベッドに張り付いたように、身動きを取ることができない。

脂汗が、身体を伝う。

と、その身体の上空を、何かがすうっと横切った。

目が開いているかも分からぬ真っ暗闇であったから、その正体は分からない。

部屋の空気を微かに揺らし、そのまま窓から出ていった。

そのとき。まるで映画のように、一つのシーンが部屋に浮かび上がったという。

見知らぬ幼い女の子がブランコを漕いでいる。

一回、二回、三回……。大きく揺れた直後、ぽおんと空中へ投げ出される。

そのまま身体は地面に叩きつけられて、そこで映像はぷつりと切れた。

怖いとか悲しいというよりも、全く意味が分からないまま朝を迎えた。

――近所の公園でそうした事故があったのですか。

と、私は問うた。

公園の景色に全く見覚えはなく、事故の噂も聞いたことはないとのことだった。

「うちはそういうものの通り道なのかもしれません」彼女は付した。

「わざわざ七階を通らなくても良いものを」

菊池さんは、そう笑った。

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