狐越え(山形県) | コワイハナシ47

狐越え(山形県)

山形県のWさんの実家の近くに〝狐越え〟という道がある。

田んぼに挟まれた真っ直ぐな一本道。ここでは事故が多い。

そこにはいつも急ブレーキの跡がたくさんついている。Wさんは真っ直ぐの道で見通しが良すぎると眠くなるのかなと思っていたそうだ。おじいさんは若い頃からずいぶんそこで狐にだまされたと言う。ある人は「水平に見えているが、実は坂道になってるから、妙なことが起こるのだ」ともいう。

いずれにせよ土地の者は、そこを〝狐越え〟と呼ぶ。

Wさんの友人の家が、その〝狐越え〟の向こうにある。そこに遊びに行った時のことだ。

友だちとその家の子の三人で、自転車でそこを通りかかった。

「私、先行って部屋片づけてくるね。この道を真っ直ぐ行ったらすぐだから、ゆっくり来て」

そういうと自転車のスピードを上げて、あっという間に遠くなって行った。

残されたふたりで、のんびり自転車をこいだ。

ところが行けども行けども家が見えてこない。

「ちょっと、どうして着かないのよ?」

「こんなに遠かった?」

そう言いながら、少し速く自転車をこぎだした。でも景色は全然変わらないし、家も見えてこない。

そのうち心細くなってきた。

すると、目の前にいきなり自転車が現れた。

先に行った友だちだ。

「何してんの?寄り道してたの?あんまり遅いから迎えに来た」

その子の後について行くと、すぐ家に着いた。

帰りの道は信じられないくらい短く、迷うはずのない、見晴らしのいい一本道だ。

すぐ家に帰り着いた。

やはり〝狐越え〟なのだと納得したという。

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