死神(宮崎県宮崎自動車道) | コワイハナシ47

死神(宮崎県宮崎自動車道)

私は、怖い話を語るのも聞くのも大好きだ。

とりあえず仲良くなった人には、「怖い話ないですか?」と聞いてみて、こちらからも誘い水として怖い話をしたりする。そうすると、「あっ、そういえばこんな話がありました」と、記憶の奥底から話が湧いてくることがよくある。

私の古くからの友人で、現在は転勤で宮崎に住んでいる柴田という男がいる。

「俺さ、今度九州全体の怖い話書くんやけど、なんか宮崎の話ないかな?」

「いやぁ、ないねぇ。友達とかに聞いてみるよ」

予想通りの反応だ。

「そっかぁ。俺は何回か宮崎の心霊スポットに行っとるんやけど、こんな話あるよ」

そう言って、「コツコツトンネル」と「平和台公園」での出来事を話すと、柴田は意外なところに喰いついてきた。

「高速で白い塊見たって!? 俺もっとすごいの見たことある!」

(え? そこかよ……)

あまり期待せずに話を聞いてみることにした。

柴田は、宮崎に転勤になってからも数か月に一度は福岡の実家に帰っていた。

走行距離はゆうに二百キロを超えるので、もちろん高速道路での移動となる。

その日は実家で母親の手料理を食べた後、二十一時ごろ宮崎に向けて出発した。このぐらいになると多少は交通量も減っており、運転ストレスも移動時間も軽減することができる。

そして、二時間ほどラジオを聴きながら高速道路を走らせ、宮崎自動車道に入ってからのことだ。

運転中眠くならないようにと飲んでいたコーヒーのせいで、尿意を催してきた。次のパーキングエリアで休憩しようと考えながら運転を続けると、「PAまで残り○km」の看板が見えた。パーキングエリアに入るために左車線に移ろうとタイミングを見計らっていると、一台のセダンが真横を通り過ぎて行った。柴田は、その車のルーフ上に浮かんで並走しているものに気付き、開いた口が塞がらなかった。

そこにいたのは、紛れもない『死神』だったそうだ。

黒っぽいマントに大きな鎌を持っている。そいつがセダンの上にくっつく様にして並走している。

(なんや、あれ!?)

驚いている間にもパーキングエリアは近づいてきており、件のセダンはスピードを上げてその中へと突入していった。もしかしたら、このまま内部で大事故でも起こしてしまうのではないかという悪い予感が頭をよぎったそうだが、元々自分も用を足す予定だったので、なるべくトイレの近くに車を停めようと開いている駐車スペースを探していると、先ほどのセダンが駐車スペースを無視してトイレ前に車を横付けしているのを見つけた。

その車を何気なく見ると、すでに死神の姿は見えなくなっていたのだが、突然、勢いよく運転席のドアが開いたかと思うと、中から中年の男性が飛び出してきて猛ダッシュでトイレに駆け込んだ。

(大丈夫やろうか?)

心配にはなったそうだが、まずは自分も車を停めて用を足さねば、こちらの車内でも大惨事が起きかねない。開いていたスペースに車を停め、ようやく念願のトイレに到着し、用を足し終わって手を洗っていると、奥の方にある大の扉が開いて、先ほどの男性がスッキリとした表情でこちらに歩いてくる。男性は柴田の横に並ぶと、良い表情を浮かべたまま手を洗い、車へと戻っていったそうだ。

「あれって死神やったんかな?」

「いや、知るかよ! そんなの!」

訳の分からない話に若干イラついていると、柴田は疑いの目を向ける私に対して、「本当に見たんだ」と語気を強めた。

「信じるか信じないかはあなた次第」といったところか……

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