発端(京都府) | コワイハナシ47

発端(京都府)

一九九九年の初夏のこと。

ある夜、東京のテレビ制作会社のKさんというディレクターから電話があった。

「タレントの北野誠さんからのご紹介で電話させていただきました。実は彼が出演している東京ローカルの深夜番組で、霊スポット巡りをするという企画がありまして、ついては中山さんに、そのナビゲーターとしてのご出演を……」と言う。

「東京のローカル番組で、関西を回るんですか?」と言いながらも、誠さんならと、快諾した。

六月に神戸を、七月初旬に大阪を回った。そしていよいよ最後の京都ロケが残った。

と、この時ちょっと気になることがあった。

神戸、大阪は、私にロケ場の選定を一任されていた。ところが京都だけは場所や内容についての相談がない。

ロケの前日になってやっとKさんから連絡があった。

「明日の京都ロケ、よろしくお願いします。集合時間は夜七時三十分。JR京都駅で……」

「わかりました。ところで、今回はどこを回るんでしょうか?」

「京都で心霊といえば、深み泥どろケ池でしょう。それに清滝の幽霊トンネル。あとはですね、すごい場所があるんですよ」

「すごい場所?」

「ええ、私の知り合いが住んでいたマンションなんですが。そこにカメラを持ち込もうと思ってまして」と、自信ありげなKさんはそれ以上は教えてくれなかった。

当日の昼間、私は取材で法隆寺にいた。

四時には奈良を発たったので、京都へは悠々七時までには着ける。ところがどうしたわけか、この日に限って時間だけがズレ込んで行く。このままでは京都駅に七時三十分にはとても着けない。途中何度かKさんの携帯電話と、東京の制作会社に電話をするがまったく通じない。

結局私が集合場所に到着したのは、三十分遅れの八時。奈良から京都まで四時間もかかっていた。

すぐさま私は誠さんたちと共にワゴン車に乗せられ、三十分遅れで最初のロケ地鴨川べりに降りてオープニングを撮影。続いてタクシー怪談で有名な深泥ケ池、そして嵯さ峨が野のにある清滝トンネルと巡った。

「トンネルのシーン、OKです。お疲れさまーっ」

いよいよ残すのは、すごいというマンションだ。ところが「これで本日の撮影は全部終わりです。皆さん車に乗ってください」とKさん。

(マンションは?)と思ったが、どうせたいしたものでもないのだろう。それより早く終わって帰れる方がいい。車は京都の街へと向かった。時計は夜の一時三十分を回っている。

その車中のことである。

「はい?」と、Kさんは携帯電話を手にした。

「ああっ、Aちゃんかあ。何度も電話したんだよ……」

Kさんの顔から血の気が引いている。

「何でそんなこと知ってるの?誰から聞いたの?」

そんなことを何度も執拗に繰り返し、やがて押し黙って電話を切った。

京都の幽霊マンションシリーズ vol.1

発端(京都府)※この話

警告(京都府)

人が寄る場所(大阪府)

男だけに見えるもの(大阪市)

赤い三輪車(京都市)

夜中のロケ(京都市)

エレベーター(京都市)

あそぼう(京都市)

名前(京都市)

通行人(京都市)

もうひとりの住人(京都市)

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