身の上話(京都府) | コワイハナシ47

身の上話(京都府)

四畳半の話。

Sさんは夜中に息苦しくなって、目が覚めた。

鼻の先に見知らぬ男性の顔があった。

驚くが声が出ない。あまりのあわてぶりを察したのか、その目の前の顔が天井付近までいったん浮き上がったが、向きを変えるとすっと降りて、枕元に座った。

頭髪に白い髪が目立ちはじめた初老の浴衣姿の男性だった。

姿がはっきりすると、どこかで会った気がした。

「わしはなあ、まだ死にとうないんや。やりたいことがまだまだあってな……」と、何やら自分の身の上話をはじめたのだ。

時計を見ると夜中の二時半を回ったところだ。

無視して寝ようとしてもその男性が話をやめてくれない。

とうとう四時頃になった。何とかせねば、と知り合いに教えてもらった般はん若にや心しん経ぎようを心の中で唱え出すと、突然その男性が「そんなもんでわしが消えると思とんのか!」と大声で怒鳴った。その瞬間、姿がぱっと消えたのである。

翌日、仕事から帰ると四階でお通夜が行われている。

焼香させてもらおうと中に入ると、遺影にあったのが昨夜の男性の顔だった。聞くと、危篤になったのが二時半頃、亡くなったのが明け方だったという。

四階で老人が息をひきとった部屋が、ちょうどSさんの部屋の真下。しかもSさんと同じ方向に布団を敷いて寝ていたそうだ。

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