平和台公園(宮崎市下北方町) | コワイハナシ47

平和台公園(宮崎市下北方町)

「平和台公園」は、宮崎県宮崎市の兵陸地にある都市公園で、平和の塔(八紘之基柱)があることで知られている。

平和の塔は元々、「八紘之基柱」という名前で、「八紘一宇」の文字が正面に掘ってあったのだが、太平洋戦争後の一九四六年、GHQによって、「八紘一宇」の文字と武人の象徴である「荒御魂像」が国家神道を連想させるとして取り除かれ、名前も「平和の塔」と改められた。

しかし、一九五七年に都市公園として指定されることにより、平和の塔の復元が決定され、一九六二年に「荒御魂像」が、一九六五年に「八紘一宇」の文字がそれぞれ復元された。

平和台公園内には他にも様々な施設があり、人々の憩いの場となっているのだが、その中でも幽霊が出ると噂されているのは三か所だ。

・『平和の塔』

戦争で亡くなった方の霊が彷徨さまよっている。

・『はにわ園』

はにわ園とは、一九六二年に完成した、園内に四百体の埴輪のレプリカが点在する場所で、隣接する形で地元住民のアトリエとしても機能する「はにわ館」がある。夜になると埴輪の目が光ったり、動いたりする。

・『新池』

公園の奥にある新池では、入水自殺した女性の霊が出る。

いってみれば、どこにでもありそうな根拠のない噂話だが、噂が立つという事はそれなりに怖い雰囲気があるのだろうし、もしかしたら本当に幽霊を見た人がいるのかもしれない。

ここは一度、きちんと調査する必要があると思い、探索メンバーを集めて撮影を決行した。

福岡から宮崎に行くにはかなりの距離があり、高速道路を使っても数時間かかるのだが、その日は仕事が終わってからの運転だったので、途中で疲れが出てきて後輩に運転を代わってもらうことにした。

パーキングエリアに車を停めると、後部座席の後輩と入れ替わり、車が発進してから数分で私は眠りに落ちた。

「濱さん! 濱さん!」

後輩に呼びかけられて目を覚ました。外を見ると、まだ現地に着いたわけではなく、車は高速道路を走っている。

「どうしたと?」

「外見てくださいよ! なんか白い塊がついてきてます!」

そう言われて外を見ると、車の横五十センチほどのところに、白くて丸い光体のようなものが纏わりついている。

「えっ!? なんこれ?」

靄ではない。あきらかに車と並走しているその物体は、私がビデオカメラを準備している数十秒の間に消えてしまった。

犬か猫の霊? 自然現象? 正体は不明だ。

そんなことがあって、現地に着く前から興奮状態だったのだが、目的は平和台公園で霊を撮影することだ。

駐車場に車を停めると、まずは平和の塔目指して歩きだす。園内の案内板を見て場所を確認すると、駐車場のすぐ近くだったため、その場でビデオ撮影を開始して進んでいく。

しばらくすると、迫力のある大きな塔が正面に見えてきた。これが平和の塔かと感心しながら、塔の土台部分へと階段を使って上がり、周囲をぐるりと回ってみるが、これといった変化はない。

人々の崇拝の対象となるような神々しいオーラを放っている平和の塔には、全く霊が出そうな気配は感じられなかったため、すぐに『はにわ園』へと移動することにした。

はにわ園へと続く道は薄暗く、数時間前まで降っていた雨の影響で木の葉からは水が滴り落ちていて、その音が無数の足音に聞こえて気味が悪い。

不穏な空気を感じてかメンバー同士の会話も少なくなってきた時、カーン! と金属バットで硬いものを殴るような音が聞こえてきた。

「聞こえた?」

「はい! 金属バットで殴るような音がしましたよね?」

音は、はにわ園の方から聞こえてきた。

「誰かが埴輪をバットで殴った?」

静かに息を殺して次の音が聞こえてくるのを待つが、聞こえてくるのはパタパタと水が滴り落ちる音だけだ。

心霊スポットと呼ばれている場所ではこういった原因不明の音は珍しくない。それが霊のせいなのか物理的に説明がつくものなのかはわからないが、それらの撮影、検証を続けていくことによって、いつかは正体を掴める時が来るのではないかと考えている。

そうこうしながら、はにわ園へとやってきたのだが、さすがに真っ暗闇の中に四百体もの埴輪が佇んでいる光景は異様としか言いようがなく、異世界にでも入り込んでしまったかのような気になってしまう。

「うぉー、これはすごい雰囲気やね。心霊スポットって呼ばれるわけやね」

そう言いながら後輩の山本の方を振り向くと、山本は鼻血をポタポタと地面に垂らしながら、ガクガク震えている。

「お前どうしたとや? 大丈夫や?」

「誰かが濱さんのこと呼びましたよ。はま〜、はま〜って」

「いや、俺には聞こえんかったけど……」

「その声が聞こえてから鼻血が止まらなくなったんですよ! ここヤバいですよ!」

「俺達はまだ撮影するけん、お前一人で車に戻っとく?」

「はい。俺、もう無理です」

私はポケットから車のカギを取り出して山本に渡し、撮影を続行した。

それから二〜三分経った頃、平和の塔がある広場の方から山本の叫び声が聞こえた。

「うわぁー! 濱さーん!」

声を聴いて急いで山本に元に向かったのだが、山本は広場の真ん中で膝をついて泣いていた。

「どうしたとや?」

「俺が歩いてたら『ぶっていいか?』って低い男の声が聞こえたんで、怖くなって走り出したら誰かに背中殴られたんです」

山本の背中を照らしてみると、殴られたというところにはベットリと泥がついていた。

さすがにこれ以上の探索は何が起こるかわからないという事で、山本を車まで運び込むと、そのまま撤収することになった。

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