のりあげどってん(奈良県) | コワイハナシ47

のりあげどってん(奈良県)

奈良県のM家で法事があった。

夜になると、久々に顔をそろえる親類、縁者で宴会となった。

夜の十時を過ぎたころ、トラックの運転手をしているTおじさんが到着した。ところがTおじさんの様子がただごとではなかった。

顔が真っ白でガタガタ震えて、うつむきながらなにかつぶやいている。

ともかく落ち着けと、お酒を一杯飲ませた。

ひとごこち着いたのか、堰せきを切ったように話し出した。

「ここへ来る途中、沼沿いの道の真ん中に白いゴミ袋がずるずる出てきてて、それが女やとわかった時はもう踏んどった。ドン、ドンと車輪がのり上げたよって間違いない。えらいことしてもた」

家中が静まり返った。

誰かが「確かに人をひいたんか」と聞いた。

「人やったと思う。髪の毛白うて長い、着てるもんも白いんか身体が白かったんかようわからんけど。なにせ急なことやったから」

そこまではっきり見ているならと、話を聞いた親戚の人たちはそれぞれに車を出して、その沼地まで行ってみたが、道にはなんの形跡もなかったという。

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