観廊婦(大阪府) | コワイハナシ47

観廊婦(大阪府)

「なんやて?」とMさんが友人に聞き返した。

「ほら何年か前ニュースで報道しとったやろ?患者の虐待や虚偽の診察報告が問題になって閉鎖されたY病院に行ってみいひんか?」

そんなところ行きたないと嫌がったが、明るかったら怖くないからと無理やり押し切られた。

結局Mさんはビデオカメラを持たされてその病院にもぐり込んだ。

なんとなく奥へと廊下を歩いた。

その一部始終をビデオに撮った。

時間にして十五分くらいだろうか。

Mさんは気分が悪くなったので早よ出ようなとうながした。

「しゃあないなあ。入ったとこやのに」と友人もあきらめ、病院を出た。

家に着いた途端、友人は撮ってきたビデオを熱心に見はじめた。

無人の病院の廊下をただ歩いているだけの映像だ。

「退屈なビデオや」

Mさんが大あくびをしていると、友人がハッと身を起こして、ビデオを巻き戻している。

「おい!観てみい!」と腕を引っぱられた。

それはもう映像の終わりに近かった。「早よ出ような」とMさんの声がして「しゃあないなあ……」と友人のセリフが入って画面が切れる寸前。

行く手正面にあるT字の突き当たり。左角から現れて、こちらへ向かって歩いて来る看護婦の姿が映って、ビデオはそこで終わった。

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