牛魂(山口県) | コワイハナシ47

牛魂(山口県)

近所のおばさんの子供の頃の話。

おばさんは山口県の農家の出身である。

当時、家では何頭かの牛を飼っていた。ある時、仔牛を産んだばかりの母牛の乳が出なくなった。

子供が育てられない母牛はお金がかかるからと、処分することになった。

その場所が裏山の山頂にある。

牛舎から引き出された母牛は、何度も何度も仔牛のもとに帰ろうとしたが、力ずくで山へと連れて行かれた。

その夜。

仔牛の母を求める鳴き声が響いていた。

おばさんは便所に行こうと、母親と一緒に裏庭に出た。すると裏山のてっぺんに赤く丸い形のものが明るく輝いて見える。

その丸い光が突然こちらに向かって動き出した。

木々の間を抜けてくるからだろうか?揺れるようにして山の斜面を降りてくる。

「なにあれ!」

と言っているふたりに向かって、ぴしっ、ぱしっというムチを打つ音に似た大きな音を立てて近づいてくる。

それが裏庭に入った途端、急にゆっくり静かになった。近くで見るとものすごく大きな赤い玉だ。それがそっと仔牛のいる牛舎に入った。

しばらくして、中から仔牛の長い長い一声が聞こえ、やがて静かになった。

「牛魂」とお母さんがつぶやいた。

牛魂は米俵ほどもある大きさだったそうだ。

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