梅狐(静岡市) | コワイハナシ47

梅狐(静岡市)

Aさんが静岡市の実家に帰ったときのこと。

床の間のある部屋に入ると、床柱の下にキラキラ光るものが置いてある。

なにが光ってるんだ?

よく見ると、十五センチほどの狐がちょこんと柱の横に座っている。

体が眩く光っている。

綺麗な狐だと素直に思えた。

途端に立ち上がって、器用に柱をスルスルと天井近くまで登っていく。

目で追うと、なんと天井一面全てが梅の花に埋めつくされている。

その梅の枝の間にキラキラ光る狐がいる。

身を躍らせて、ぽーんぽーんと枝から枝へと跳んでいく。そのたびに梅の花が落ちる。

そのうちに狐が両足で蹴った枝が折れて、Aさんの目の前にぽとりと落ちた。

その枝を拾って再び天井を見上げると、空中で狐が消えた。

途端に天井から梅の花も消えた。

今のは夢?

しかし右手に、一本の梅の枝を握っている。

部屋の中に梅の花の香がわずかに残っていた。

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