油紙(静岡県) | コワイハナシ47

油紙(静岡県)

Aさんの親戚の家は、静岡で代々造り酒屋を営んでいる。

その家のおじいさんが亡くなった時、趣味で集めた骨董を蔵から出して、親戚一同で形見分けしようということになった。

兜、鎧、槍、刀、掛け軸、仏像、壺、皿、茶碗……。

蔵の前にズラリと並べられた骨董品や古道具を前にして、親戚一同はまさかこれほどとはと半ば呆れていた。

そういえばと、家の人。

商売でまとまったお金が必要になると、ふらっとどこかへ出かけて行って大金を持ち帰るということがよくあった。

どこで何をやって来るのかわからないが、とにかく今までお金の工面で苦労している姿は見たことがないという。

それでこれだけのものが買い集められたのだ。

それにしても、珍しいものがたくさん蔵から出てきた。虫干しをしながら、その前で全員の記念写真を撮ることにした。

親戚からあの時の写真に妙なものが写った、と連絡が入った。

行ってみると一枚の写真を手渡された。

骨董品の前で撮った写真に、みんなに混じって横を向いたおじいさんがいる。

亡くなったおじいさんだ。しかも裸だ。腰から下は透けていて写っていないが、なぜかおじいさんの立派なイチモツだけははっきり写っている。

腰痛だったと聞いていたが、下半身の立派なものを見るととてもそうは思えない。

家の人も呆れている。

それにしても死んだおじいさんは横を向いてなにを見てるんだろう。

目線の先には土を盛って作った小さな築山がある。

築山になにかあるんじゃないか。

見にいってみると裏に掘り返した跡がある。

掘ってみるとすぐ、蓋ふたのようなものが出てきた。

開けると下に空洞が続いていて、縄梯子がある。

こりゃなにかあるぞ。

懐中電灯を持って四、五メートル降りると底に横穴がある。

這はって進んでいくと広い場所に出た。

その壁際に煉瓦が積み重ねてある。

よく見るといくつか崩されているところもあった。

きっとおじいさんが崩したに違いない。しかしなんのためだろう?

確かめてみようといくつかどけてみると重ねられた煉瓦の間から古い杉板が出てきた。

さらにその板と板の間から油紙に包まれたものが出てきた。

全ての煉瓦の間から三十枚近い油紙が出た。

蔵の前でその油紙を広げると、それぞれからなんと大判が出てきた。

なるほど。おじいさんはお金に困るとこれを東京に持っていってお金に替えていたんだ。

それを気にしてたのか。

三十枚の大判は、家族と親戚で均等に分けた。

そのすぐ後から大判をもらったAさんも含めて男性一同の腰が痛み出した。

おじいさんは長らく腰痛に苦しんでいたから、大判をみんなで分けたことを怒っているんだ、ということになった。

しかし誰ひとりとして大判を返したいとは言わなかった。

そのうち腰痛はウソのように治った。

全員同じ日に治ったのだという。

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