パジャマパーティー(宮城県) | コワイハナシ47

パジャマパーティー(宮城県)

宮城県に住む、有田さんが体験した話である。

まだ実家で暮らしていた頃。

その日も、有田さんは金縛りに遭った。

「も」というのは、当時よくあったことだというのだ。

和室に置いたベッド。

夜休んでいると、前触れもなく身体の自由が利かなくなる。

ああまたか、という思いが先に来た。

しばらく待てば、金縛りなんて解けてしまう。

ところがその日は、続きがあった。

誰かが、この部屋にいる。そんな気配がするのだ。

障子越しに、柔らかな朝陽が部屋を満たしている。

ぐるりと目だけを動かしてみても、人の姿は見当たらない。

しんと静まり返った、いつもの自分の部屋である。

けれども確実に、この部屋には自分以外の誰かがいる。

ばふ。ぐぐぐぐぐ……。

足元の辺り、掛け布団の一点に力が加わる。マットレスが沈む。

不意にやってきた感触に、有田さんは戸惑った。

目で確かめようと思っても、首が動かない。

視界に入るのは、自分の布団ばかりである。

ばふ。ぐぐぐぐぐ……。

力点がもう一箇所加わった。

自分の足を挟んで、先ほどとは対称の位置である。

マットレスがもう少しだけ沈む。

いったい、何が始まろうとしているのか。

――え。嘘でしょ。

白く連なるシーツの山並みの向こうから、黒いものが昇り始めた。

ハンドボールぐらいの大きさの。繊維質の塊のような。

ぐぐぐ、と一際大きくマットレスが沈むのを有田さんは感じた。

それに反比例するかのように、見えてくる。

頭だ。

ボブカットのように髪を短く切りそろえた、女の頭だ。

前髪が垂れていて、顔は見えない。

パジャマを着ている。

白い布地に、ピンクや水色、黄色の水玉模様が入っている。

肩が見える、腕が見える。

女が、ベッドへ這い上がろうとしている。

両手を布団に突いて、それを支えにして。

女の体重が、ベッドを沈み込ませていたのだ。

嘘嘘嘘嘘怖い怖い怖い怖い。

有田さんは声を上げようと思った。

何事か叫べば、母親が助けに来てくれるはずだ。

けれども、声が出ない。喉に何か詰まったように、声帯が機能しない。

ひゅうひゅうと、ただ息が漏れるばかりである。

このままでは、女が上がってきてしまう。

身体に乗りかかられたら。

いや、その前に、顔が見えてしまったら。

怖い怖い怖い怖い……!

んんんんんんんんんん!!

自分の呻き声で、我に返った。

女はいない。自分以外の気配も、ない。

障子越しに、柔らかな朝陽が部屋を満たしている。

身体の自由も、戻っている。

あれは夢だったのか現実だったのか、未だに分からないと有田さんは語る。

余りの恐ろしさに、一週間ぐらいは自室では眠れなかったという。

こたつで寝たり、母親の部屋で寝たり。

そうする中で、有田さんは一つ思い出したことがある。

以前その部屋を使っていた、お姉さんの言葉。

――夜中にさ。

掛け布団にばふばふ何かが乗っかってくるような感じがしてさ。

全然寝られなかったんだよねぇ。

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