神社の記憶(東京都八王子市) | コワイハナシ47

神社の記憶(東京都八王子市)

ある番組の取材班が八王子市にある神社に行った時の話。

ゲストは地元出身ということで選ばれたM子さんだ。

高台にある神社に続く細く長い石段の前でM子さんは突然動けなくなった。このままでは番組の撮影どころではないので、スタッフがM子さんの手を引いて、なんとか上りきった。

大きな注連縄のある御神木が見える、が、お社が見当らない。

立派な神社の境内なのに、お社がない……。

そんな誰かの言葉を聞いて「あっ、思い出した。昔ここにお社があったわ」とM子さんの幼い頃の記憶が甦よみがえった。

M子さんの子供の頃、ここで宮司一家が殺されるという事件があった。ふたりの子供も犠牲になったという。

殺された現場はお社の中だった。「だからあの神社に行ってはダメよ」とお母さんに言い聞かされていた。

そんなことは子供にとっていつまでも守れるものではない。一週間もしないうちにまたそこで遊ぶようになった。

ある日、隠れんぼをしていてM子さんが鬼の番になった。

数え終わって振り返るとお社の格子戸から子供の手が四本、だらりと下がっている。

隠れんぼをしているのだから、友だちの手のはずはない。

じゃあ、誰の手だろう?

ずっと眺めているのに気がついたかのように、いきなり手がおいで、おいでをはじめた。

M子さんはふらふらとその手に誘われるままお社の格子戸の前に立った。と、手がスッと奥に消え、ギッと戸が左右に開いた。

突然誰かに背中をドンと押されて中に踏み込むと、メリメリッと床が抜け落ちて、気を失った。

「その時にできた足の傷痕、まだ残ってます」

泣き出したM子さんを見て、ロケは打ち切られた。

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