赤いシャツ(静岡県) | コワイハナシ47

赤いシャツ(静岡県)

Sさんという女性は、静岡県でお母さんと共同でペンションを経営している。

ある年のお盆前のこと。

朝、キッチンで朝食の用意をしていると、視界の端に赤いチェックのシャツを着た中年の男性が立っているのに気がついた。

どうかされましたか?とそこを見るが、誰もいない。

気のせいかと目を手元に戻して盛り付けをしていると、また赤いチェックのシャツが目に入った。

はっとその方向を見るが、やはりいない。

派手な色の上に、すぐそばに見えるので勘違いのような気がしない。

昼もリビングの掃除をしていると、やはりキッチンの方に赤い色がちらつく。

夕方、廊下からキッチンを見た一瞬だけ正面からその男が見えた。

ほとんど視界の端にそれが見えるというだけで、はっきり見ようとすると誰もいない。

気味の悪い一日だと思った。

翌日、男はリビングに立っていた。

拭き掃除をしていた時に見えたが、見直すとやはりいない。

三日目、男は廊下に立っていた。

廊下を歩くたびにちらりちらりとその赤いチェックのシャツが目に入る。

四日目は、玄関に立っていた。

そして五日目のお昼のこと。Sさんはお母さんと裏山に茗荷や山芋を採りに行った。

お母さんがふと顔を上げて「ああ、あの人、お帰りになるねえ」と言う。

「えっ、あの人って?」

Sさんも顔を上げた。すると眼下に自分たちのペンションが見える。

まさか!鍵をかけてあるはずの玄関のドアが閉まろうとしている。

中から赤いチェックのシャツを着た中年男性が出てきたところだった。

それが、そのままその場所で消えた。

「お母さん、今のだれ?」

「知らないよ。でもお盆が終わったから、お帰りになったんだよ」

そう言って腰を下ろすと、また山菜を採りはじめた。

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