四人目(東京都港区) | コワイハナシ47

四人目(東京都港区)

女性三人が新橋の居酒屋に入った時の話。

座敷に座り、ビールで乾杯をした。

Iさんが「くーっ、おいしいね」と前に座るふたりを見ると、「あら?」という顔をしたまま、ジョッキをテーブルに下ろさずポカンとして奥の方を見ている。

「なに?」と振り返ったが別に知人がいるというわけでもない。

「どうしたの?」とふたりを見ると、誰もいないIさんの隣の席を見つめている。

「ねぇ、なんなのよ?」と聞きなおしてもふたりは答えるどころか、店員に日本酒をコップで頼んだ。

「私、まだ日本酒は飲まないわよ」と言うと、ふたりとも「ちがうの。いいから」と揃って答える。

コップ酒が来ると、空いているIさんの隣に置いた。

途端にカタカタカタカタカタとコップが左右に揺れはじめた。

と、みるみるうちにお酒が減っていく。

ふたりで手品を見せてくれている、と思った。

お酒が、底からあと五ミリほどというところでコップの揺れが止まった。

「すごい!どうやったの?」とたずねた。

ふたりは口から上がにじんだように見えない着物姿の女性が、まるで遅れて来た四人目のようにIさんの隣の席に座ったのだという。

「まさか、本当?それで」

きっと居酒屋に来たんだから、お酒が飲みたいのだろうと日本酒を頼んだらコップを握りしめてカタカタと……。

「それでお酒がなくなったの?飲んだから?コップは持ち上がらなかったわよ」

「そうよね」とうなずくふたりの顔は真剣だ。

「まだいるの?」とおそるおそるたずねた。

ふたりは首をふると「お酒がなくなると女も消えていなくなったわよ。でも、唇が真っ赤になっていた」という。

あとは、お酒どころではなくなった。

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