病院のロケ(栃木県) | コワイハナシ47

病院のロケ(栃木県)

栃木県にある廃病院で、ビデオの撮影が行なわれた。

看護婦役のM子さんが、廊下を歩くシーンを収録している時のこと。

突き当たりのエレベーター前で、右に折れて歩いていくというカットだった。

「用意!はい!」という監督の声でM子さんは廊下を歩きだした。

その前方にお爺さんが歩いている。

禿はげた頭にパジャマ、白いカーディガンを着ている。

誰?エキストラ!?でも今まで目の前には誰もいなかった。

ところが監督からNGが出ない。M子さんは演技を続けて、エレベーターの前で声がかかった。

「はいカット」

先を行くお爺さんは、そのまま廊下を右に曲がっていなくなっていた。

「監督、今の誰ですか?」

M子さんはスタッフの所へ戻り、さっきのお爺さんの話をした。

カメラさん、照明さん、助監督さん、メイクさん、その場の人たちがみな〝えッ?〟と顔を見合わせた。

「そんなのいないよ」

「いえ、確かにいました」

「まあ、どうせ確認するから……」

巻き戻しをはじめた逆まわしの画面に、妙なものが廊下の右角から戻るように映り込んで来た。

止めて〝再生〟。

「はい」の声で廊下を歩きだしたM子さんの前に一瞬で白い煙柱のようなものが立った。

それがM子さんと同じ速度で移動して廊下を右へ曲がって見えなくなった。

「監督、お爺さんじゃないけれどこれです、きっと」

騒然となった。

しかし「でもこれ、この作品に関係ないから」の監督の一言で、その場で消去されてしまった。

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