弥生の空に(山形県) | コワイハナシ47

弥生の空に(山形県)

――ねぇ、あれ何?何か飛んでるんだけど!

五十メートルほど先の角を、ふわりふわりと飛んでいく。

白くて、ひらひらとした。布のような見た目の。

風など少しも吹いていないと言うのに。

この場所、この季節にしては暖かな、昼下がり。

丁度シングルサイズのシーツぐらいの大きさである。

ゆるゆると自転車を漕ぐほどの速さで、人の背丈ほどの高さを。

――金木ちゃん、どうしたの?

先を歩いていた友達が引き返してきた頃には。

もうそれは、生け垣の向こうに隠れてしまった後だったという。

正体も、飛ぶ目的も全く分からない、白いひらひら。

山形県庄内地方。三月。同僚金木の学生時代の目撃談である。

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