撮り鉄 魔の踏切(茨城県県央) | コワイハナシ47

撮り鉄 魔の踏切(茨城県県央)

撮り鉄 魔の踏切(茨城県県央)

常磐線での人身事故の原因の一つにある「踏切事故」。

それはほとんどが飛び込み自殺だが、中には「他殺」ではないかと思われることもあるという。その犯人も生身の人間ではなく……。

『撮り鉄』をしていた真さんの話だ。ここで電車を撮るには絶好の場所だということでやってきた。真さん自身は日立に住んでいて、常磐線の鉄道の写真を撮るのが趣味だった。

高浜駅から神立へ向かう踏切、「第二S踏切」という名称だった。

そこは民家も少なく、遠くに神社らしきものが見える程度の人の気配が全くないような場所だった。車だけしか通らないようなところだ。

踏切の向こう側にランドセルをしょった小学生の女の子が立っていた。

ニコニコしてこっちに向かって手を振ってきた。真さんは知り合いでもないし、誰に向かって振っているのかと思って後ろを見た。

年齢は五、六十歳くらいの、おなかが出っ張ったおじさんが走ってやってきた。汗をかいていて、相当急いでいるようだった。

「オーイ!」

ああ、二人が知り合いなんだなと思って、真さんはカメラをいじっていた。

「カンカンカン」

踏切が下りる音がした。この音がするとあと一分くらいで電車が通過する。カメラを構えた時だった。

そのおじさんは踏切の棒をくぐって線路へと歩き出した。

もうそこまで電車が来ているのが見える、真さんは慌てて叫んだ。

「危ね! おじさん危ねえって!」

おじさんは真さんを見て、少し笑った。だが電車はファーっと警報音を響かせながら

「キイイイイ、バーン」

目の前でおじさんが跳ねとんだ。手足や肉片が飛び散った。

鈴木さんは、飛び込み現場に遭遇してしまった。

後で警察で話を聞くと、そのおじさんは身寄りがなく借金も何千万とあり、生きるのが嫌になって飛び込んだのだろうということだった。ホームレス寸前だったようだ。

だが遺書はなかったそうだ。真さんはあのおじさんの最期の笑顔が謎でもあった。

では、あの時踏切の向かい側にいた小学生の女の子はおじさんの誰だったんだろう。

電車が来る前に踏切を撮った写真には、女の子の姿は写っていなかった。

その踏切は家族が立て続けに飛び込んだりする、謎の事故多発地帯だったそうだ。

撮り鉄 女子高生(茨城県水戸市)

真さんはそれからというもの、変なものが見えるようになってしまった。

電車のホームで見かける人の頭の辺りに黒い影が見えると、その人は飛び込みをしてしまうことに気が付いた。

一度、サラリーマン風の男性がホームに落ちたのを見た。

その人は最初から黒い影がつきまとっていた。黒い手が線路から何本も見えて、男性の足を引っ張って落としていた。

もう電車が入ってくる! というのに、その男性の上に黒い影たちが覆いかぶさって身動きが取れず、ついに轢かれてしまった。

だからホームで撮影するときは塩を持つようにしていた。

水戸駅で、ある女子高生がホームの脇に立っていた。

撮り鉄の真さんは、ホームの端で待っている。入ってくる電車を撮りたいのと危険性から、ホームの手前にはいないことにしている。奥の端にいるのがベストなのだそうだ。

そしてもう一つの理由、その手前の端にはいつも黒い影が待っているからだ。

多分、そこで飛び込んだ霊が多くそこに集まっているのだろう。

その女子高生は変な動きをしていた。来る電車に乗り込まず、ウロウロして次の電車を待っている。

(この子、次の電車で飛び込むな……)

真さんは様子をうかがいながら、彼女の後ろにまわった。

電車が来る! という時、黒い影が一斉に彼女を取り囲み、押そうとしていた。真さんは彼女の服の襟をつかみ、後ろに引っ張った。一緒になって倒れた。

その時だった。

「チッ」

と舌打ちする音が聞こえた。

ゾッとして、抱え込んだ女子高生を見る。すっと黒い影が消えていた。

「よかった、助かったねえ」

彼女はスカートの中も丸見えの状態で膝から血が出ていた。我に返ったのか怒りだした。

「何……するんですか!」

「今、黒い影に押されてたんだよ。危なかったね……」

「黒い影? 何のことです?」

女子高生は変な顔で見た。思ったより元気そうなタイプだった。自殺する雰囲気の暗さはない。彼女は少し怪我をしたので医務室で手当てをしてもらい、真さんも事情を説明した。

しかし黒い影なんて言っても信用されない。痴漢と間違われなくて済んだ程度で、女子高生も駅員も真さんを白い目で見ていた。元気になったと思ったが、また女子高生の頭に黒い影が見えていた。心配になり駅員に言った。

「彼女、よく言ってから帰してくださいね、次も飛び込もうとすると思います」

駅員は「ハイハイまた言ってるよ」とバカにしたような顔でうなづいていた。

その次の日、その近くの駅で飛び込み事故があった。

やはり昨日の女子高生だったそうだ。

水戸駅では止められてしまう、と思ったのだろうか。

自殺を止めても、黒い影は必ず命を狙いにくるのか、落とさせにくるのか、それとも彼ら自身の中にある心の闇が黒い影なのか。真さんはやりきれなくなった。

真さんはそれ以来、なるべく人に憑いている黒い影は見ないようにしているそうだが、入ってくる電車の窓に黒い影が張り付いている場合があるそうだ。

そんな時には「車両の故障」という車両関連での遅延のアナウンスが流れるという。

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