パチンコ店での肝つぶし(茨城県東茨城郡茨城町) | コワイハナシ47

パチンコ店での肝つぶし(茨城県東茨城郡茨城町)

国道6号線沿いにある廃墟と化したパチンコ店があった。中身はボロボロの内装で、パチンコ台が数台無残に置かれていた。

こうなると浮浪者やヤンキー達のたまり場になる。

ここへ肝試しに行こうと拓海さんと友人達は計画した。「廃墟巡り」が趣味だったのだ。もちろん心霊スポットと言われる廃墟も何度か行った。中にはおかしなところもあるので塩を持ち歩いていた。ヤバイ場所に行くときは塩を振りかけると治る、という迷信で。

「丑三つ時の夜中三時に行ってやろう!」となり、懐中電灯とカメラを片手に乗り込んだ。

その日は夕方から小雨が降ったりやんだりする日だった。

梅雨開けしないムシムシした初夏の頃。

入ってみると、元パチンコ屋の室内は凄まじい状態だった。

壁の落書きもひどいが、入った途端の異臭がひどかった。以前二階で白骨死体が見つかったと言うし、まだ見つかっていない遺体があるんじゃないか? と話しながら進んだ。

カメラでフラッシュつけた写真を撮っていた仲間の一人が騒ぎ出した。

「上! 上に顔が出てるって! 天井見ろ!」

拓海さんは慌てて天井を懐中電灯で照らした。

一瞬何かよぎった気がしたが、天井にはシミと落書きがあるだけだった。

「天井にびっしり顔が出てるだろ! 見ろって」

仲間は叫んで、そこから顔色が土気色に変わった。

ブルブルと震えだし、尋常な雰囲気じゃない。仲間の一人が神妙な顔をして言った。

「……ここやべえな。こいつも震えてるし、もう出るか」

「まだ入ったばっかだろ。塩でも振っとけば治るんじゃねえか?」

と拓海さんは持ってきた食卓塩をその震えている仲間に頭から振りかけた。ところが瓶の中蓋が緩くなっていたようで、全部の塩が友達にかかってしまった。

「うわーなんだこれ!」

「塩だよ! 全部出ちまった……お前ばっかで、俺らの分が無くなった!」

そして拓海さんはちょっといたずらをしてやろうと思い、静まった瞬間に空になった食塩の瓶を奥に投げた。

ガシャーンと響き渡り、仲間二人は真っ青になった。

「ギャー! 出た!」

とダッシュで逃げ出した。拓海さんは笑いながら連なるようにそこを出た。

その時、顔を手で撫でられたような感覚があった。

「うへっ」

生暖かい風がもわっと拓海さんを取り巻き、得体がしれないものを背中にしょったような感覚になった。急にガクンと肩に重みが乗っかった感じだった。

それぞれ家に帰り、昼まで爆睡してしまった。拓海さんが起き上がると、なんだかいつもより体が重い。肩に何か乗った感触がまだ取れない。

その時、家の電話がプルルルルと鳴った。姉が出たようだ。

「拓海! 電話だよ!」

「誰から?」

「知らない、おじいさんみたいなしゃがれた声だったよ」

「誰か聞いとけよ~」

しぶしぶ一階に降りて、電話に出た。

「もしもし? 代わりましたけど……」

「ツーツーツー」

電話は切れていた。拓海さんは姉に文句を言った。

「切れてるし。何の用かだけ聞いといてくれよ~せっかく寝てたのによ」

姉はムカっとした顔で答えた。

「『昨日拓海さんが来たので、その話で……』って言ってたよ。誰かの家に行ったの?」

「え……?」

拓海さんは焦った。

昨日はあのパチンコ店以外、どこにも出かけなかったからだ。

その後、神社でお祓いをしてもらうことにした。逃げ帰った友達も、映した写真に相当ヤバイのが写っていて、お祓いして捨ててもらわなきゃいけないと言っていた。

天井に複数の顔が映っていた写真だった。最初面白がってインターネットのブログにアップしたが、奇妙なメールが舞い込んだという。

「これ持ってるだけで二十日以内に家族が死にますよ」

その十日後、友達がかわいがっていた愛犬が事故死した。

神主さんには「お前ら、変なものしょってきたな」というような事を言われ、お札をもらって帰った。拓海さんは二度とあんな場所には行きたくないと話す。

その後、あの廃墟の二階から浮浪者の遺体が見つかっていたとの話をインターネットのオカルトサイトで知った。

白骨化した腕がだらんと天井から垂れ下がっていたのを、肝試しをしていたグループが見つけたということだった。異様な臭気とあの手で触られた感覚……拓海さんはさらにゾッとしたという。

あの日かかってきた電話は、死んだ浮浪者からのメッセージだったのだろうか。

それとも、霊のたまり場を荒らした苦情の電話なのだろうか。

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