趣味友だち(神奈川県大磯町) | コワイハナシ47

趣味友だち(神奈川県大磯町)

骨董には悪因縁がつきものだというが、熱心な数寄者も昔から多い。

武文さんとイシダさんもそうだった。イシダさんが三〇代、武文さんが二〇代の頃に東京の同じ会社の先輩後輩として知り合い、イシダさんが郷里の大磯に引っ込んでから後も、骨董という共通の趣味があるために交流が続いた。

イシダさんは研究熱心で、こと焼き物については造詣が深く、武文さんは彼の弟子のようなものだった。イシダさんが茶道師範だという母親と二人で暮らす数寄屋造りの古い邸を年に数度は訪問して、あれこれ教えてもらっていた。

付き合いだしてそろそろ二〇年も経つというその日も、彼はイシダ邸を訪ねた。

しかし、このときに限り、数多の骨董品が飾られた光景を禍々しく感じた。

なぜか急にゾッとして、骨董から足が遠のき、イシダさんとも会わなくなった。

それから一年半もして、あるとき急にイシダさんのオークションサイトのアカウントを見てみようと思いついたところ、アカウントが消えていることに気づいた。スマホも繋がらず、大磯の邸に電話をしたら母親が出て、「昨日亡くなりました」と告げられた。

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