パワースポット幣立神宮(熊本県上益城郡山都町) | コワイハナシ47

パワースポット幣立神宮(熊本県上益城郡山都町)

山都町の山中に「高天原・日の宮」と呼ばれる「幣立神宮」がある。

高天原とは、「古事記」の冒頭「天地のはじめ」に神々の生まれ出る場所として、その名が登場し、「日の宮」とは天照大御神が住む宮殿であり、天照大御神の子孫である天皇の住む御殿のことでもある。

高天原の所在地については諸説あるようで、古事記の内容をどうとらえるかによって見解が大きく異なり、日本各地には高天原と呼ばれる場所が十数か所あるので、興味のある方は調べてみるのも面白いだろう。

この話は、「風の見える丘公園」の後半部分に登場した、私の行きつけの美容室のオーナーである重田さんから聞いた話だ。

数年前、重田さんは知人から幣立神宮が有名なパワースポットであるという噂を聞きつけ、ドライブがてら家族と参拝に行ったそうだ。

現地に着くと、参道には巨大な杉の木が立ち並んでおり、厳おごそかな空気を漂わせながら参拝客を受け入れている。

鳥居へと続く階段の下から見上げると、本殿には日本国旗が交差して掲揚されていたため、驚いたそうだ。二月十一日の建国記念日には国旗を掲揚する神社は珍しくないと思うが、年中となると滅多にないのではないか。

階段を上っていくにつれて増していく張り詰めた空気を肌で感じながら、境内に入る。

本殿の横では宮司さんと女性が話しているのだが、女性は俯いたままで全く宮司さんの方を見ようともしない。なぜか、その女性が気になったそうだが、まずは手水舎で身を清める。そして本殿へと参拝に向かったのだが、その時には女性の姿は見えなくなっていた。

参拝が終わり、境内を見て回ろうと本殿の左側に回り込むと、そこには二つの社があるのだが、その一つに先ほどの若い女性が手を合わせていた。ジーンズにノースリーブという後ろ姿で、風に乗って甘い香水の香りが漂ってくる。

女性が参拝している隣の社へと進み、家族揃って手を合わせていると、隣からすすり泣くような声が聞こえてくる。その声に反応して顔をそちらに向けようとしたその時、奥さんから腕をガシッと捕まれて、小声で囁かれた。

「見ちゃダメ」

その声が微かに震えているのを察知して、恐ろしくなった重田さんは前を向きなおして手を合わせるふりをした。

暫くすると、「もう大丈夫」と奥さんが顔を上げたため、自分も顔を上げて隣を見ると、そこには女性の姿は無かった。その間十秒ほど、キョロキョロとあたりを見回していると、それに気づいた奥さんがこう言った。

「さっきの生きてる人間じゃないよ。こんなに天気いいのに影なかったじゃん」

そこで初めて、自分があの女性をなぜ気になったのか、ようやく気付いた。

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