そばに寄り添う……(大阪府) | コワイハナシ47

そばに寄り添う……(大阪府)

突然、会社を辞めると言い出した同僚

「俺、社を辞めようと思ってるんだ……」

大阪の近郊市に工場のある△△製作所の技師である宮守さんは突然、同期で友人でもあるE――という男性社員から、こんなことを打ち明けられて驚いた。

場所は、社内にある社員用食堂であった。

深刻な話をする場所では、ない。しかし、広い食堂内は昼食のピークも過ぎ、がらんとして人の姿は、あまり――ない。

「オイ。突然、何を言い出すんだ。何か、トラブルでもあったのか?人間関係か?それとも業務上の問題なのか?」

「人間関係……」

Eさんは、棒読みの口調で、その言葉をくり返してから首を振った。

「いや。そういったものじゃあ、ない。ただ――ただ、たんに参っちまったんだよ。お手上げです、ってカンジかな。ハハハ……」

職場不適応症か?と宮守さんは思った。そんな言葉があったはずだ。燃え尽き、とか何とかいう言葉が。言葉だけなら、ずいぶん以前から。

熱血と言ってもいい、真面目なサラリーマンが何かのきっかけ――それは配置転換や些細なトラブルであったりするのだが――で、万事にやる気がなくなり、あげくのはてに出社拒否に陥ってしまう……。

(こいつも、そうなのか)

宮守さんが、そう考えたのも無理はない。Eさんは、しきりに右手の指の関節を嚙んでいた。心に鬱屈があるときの彼のクセであることを、友人である宮守さんは知っていた。

有能な――男性であった。有能な技師であるだけではなく、万事に才覚が行き届く社員であった。社内に吹き荒んだリストラの嵐も、Eさんを吹き飛ばすことはできなかったのだ。

そんな彼が、いきなり退社をほのめかす。……宮守さんでなくても原因は心の問題としか思えなかったろう。

「……な。一度カウンセリングを受けてみたらどうだ。守秘義務で絶対に外部には診療の内容も漏れないそうだし。早まるよりも、ずっといい。な。今、辞めたってイイことは何一つないぞ。第一、辞めて、その後はどうする気なんだ?」

指の関節を嚙みながら友人は答える。

「あー、考えて、ない。何も」

……けだるそうであった。

「というよりも考えられないんだ。何にも、な。何しろいつも、そばに、あの女がいるものだから。何も考えさせてはくれない。……ただ休みたいんだ、俺は。ゆっくり……ゆっくりと、な。ただ、もう、ゆっくり」

「――女?」

妙な方向に話がいく。宮守さんは首を傾げた。女……女性問題が、からんでいたのだろうか?それがこじれて友人は、自暴自棄なことを言い出したということなのか。

友人は、四〇歳近いが独身であった。華やかな話、うわついた話は、ほとんど聞いたことがない。

けれども真面目で仕事一筋な者ほど、一度思いつめると、行き着くところまで行ってしまうものだ。友人はつまり、女がらみの隘路にハマリ込み、抜けられなくなってしまったのか。

「な。話してみろよ。くわしくさ。自分でよかったら――ひょっとしたら自分にも何かできることがあるかもしれない。な?」

「……話してみろって?」

長いつきあいの友人だ。力になれるものなら、なってやりたい――そう心から思って発した宮守さんの言葉を、しかしEさんはどう受け取ったのか。一瞬、その目に嘲りのような色が浮かんで見えた。

(何だろう、今の目は?)

「あー、そうか。それもいいかもしれないな。ふふふ……一度、誰かに話しておくっていうのも。うふふ。………………うふっ」

「何を見たっていうんだ?」

「それ」が、いつからのことだったかEさん自身にもよくわからない。

気がついたときには、もう、何か、のっぴきならない地点にいた――そんな感じなのだそうだ。

「俺は地下鉄で通勤している――知っているだろ?で、あたりまえのことなんだが、電車に乗るには自動改札を通らなくちゃならない。そのときに――後ろから軽く押される気がするんだよ。何度も何度も。……マナーのなっていないヤツは多いからさ。一度に二人通る形になって、バーがバタンと閉じる。当然のことだ。で、俺は腹立たしくて、後ろにいるヤツに注意をしようと振り返るわけだ」

「そりゃあ、そうだろうな」

「ところが」

友人は、かりかりと指の関節を噛む。

「………………いないんだよ。後ろに。誰かが俺を押したんだから、続いてきているヤツがいなくちゃいけない。なのに俺は一人で自動改札に閉じ込められている。あー、どう思う?」

「自動改札ってヤツは、過敏反応する場合もあるからなあ」

宮守さんは、常識論を唱えた。

「あー、そう言うと思った。じゃ、こういうのはどうだ?最近、通行量の少ない場所のエスカレーターで、人の接近をセンサーで感知して動くタイプがあるだろう?ふだんは停止していて、乗ろうとすると動き出す。ゴォンゴォンゴォンゴォン……」

「ああ、あるな」

「そういうのに俺が乗ろうとすると、だ。俺はセンサーの有効範囲の、ずっと手前にいるのに――動き出すんだよ、エスカレーターが。ゴォンゴォンゴォンゴォン……。

まるで――そうだ。まるで、俺の数歩先を、先客が歩いているかのように、だ。実際には、そこには誰も、いないというのに、だ。あー、どう思う?こいつは」

「どうって、それは、つまり」

技師の立場から、またしても機械的な不調を主張しようとした宮守さんは、途中で口を閉じた。

違うのだ。友人が言おうとしていること。そして、おそらくは思い込んでいることは、違うのだ。機械的なトラブルなどでは、まったくない。

けれども、それを口に出すのは、宮守さんにはためらわれた。彼は技師であり、合理主義者であった。おそらくは、その結論を待ち受けているであろう友人の目を見ないようにして――宮守さんは、言葉を選んだ。

「どうって――どういうことなのかな、そいつは?」

「どういうこと?ふふふ……うふふ……」

Eさんは、また空虚に笑った。あまり、聞きたくない笑い声なのであった。

一方の宮守さんは、これは相談でどうこうできるレベルではないと、そう思い始めていた。では、どんなレベルかというと、まだわからないが、しかし……。

「ま、そういうことが、重なっていったわけだ」

かりかりかりかりかりかり……こりっ

「俺も変だと思った。けれども、その時点では、何だかおかしい――その程度だ。何といっても、実害はない――そうだろう?思い違いや機械のトラブル。まあ、そう思えば思えなくもない。そうだろう?」

「ああ、そうだな」

執拗に同意を求めるEさんに、宮守さんはしかたなくうなずいた。

「けれども、だ。このあたりからが肝心なんだが――誰でも自分で自分というやつを支える線のようなものが、ここにあるよな?」

と、友人は自分の頭を指さす。

「ああ、あるな」

「そうだ、ある。そいつが、な。こう、ぷつんぷつんと切れてゆくようなモノを見せつけられて――アレは怖かったよ。あー、アレは怖かった。……アレを見て、自分の考えは間違っているんじゃあないか。こいつはもっと深刻で――しかも、ふつうの見識じゃあ、はかりしれないことに巻き込まれているんじゃないか、そう考えるようになった……」

「ぷつんぷつんと切れてゆくようなモノ……何を見たっていうんだ?」

「あー」

友人は、再び右手の指の関節を嚙み始めた。

「サテンでな。いや、どこにでもある喫茶店さ。店自体はどうってことはない。そこで人待ちをしていたのさ。道路に面した一方が大きなガラス張りで――そこの四人掛けの席の一方に座った。これから人がくるわけだからな」

「ふむ」

「そうしたら、な。俺の向かいの席で――どさり、と物を置くような音が聞こえた。俺はツールに目を通していたんだが……音で顔をあげてみた。待ち人がやってきて座ったか、あるいは店の従業員が何か物でも置いたのかと思った。けれど――向かいの席は、空席のままだ。誰もきてはいないし、何も置かれてはいない……」

「………………」

「からっぽ、なんだ。いぜんとして、その席は、さ。じゃあ、今の物音は何だったのだろうと思った。当然だろ。そのときだ。向かいの席のガラスが……曇ったんだ」

「ガラスが……曇った?」

「そうさ。よく電車なんかでガラスに頭をくっつけているヤツが、いるだろう?その後でガラスを見ると、髪の脂で汚く曇っているじゃあないか。そのときも――まさに、そんな感じだった。ただ、電車のなかと決定的に違うのは、その席には誰もいないし、ガラスは、そのときまでまったく曇ってはいなかったということだ。きれいに拭かれていて汚れなど少しもなかった……わかるか?俺の言いたいことが?」

「わかる……つもり、だ」

「そうしてな。ここが誰にでも話せることじゃないんだが。まったく、頭の線が切れてると思われるだろうからな……。いいか。あぜんとして見ている俺の前で、そのガラスの曇りは、前のほうにずずーっ、と移動したんだよ。そうだ。そこにはいない誰かが、ガラスに頭を押しつけたまま………………前屈みになったように」

「………………」

深い沈黙が、あった。食堂のなかの物音が、やけに耳につくのだった。宮守さんは、友人の話に対して、どう対応したらいいかわからなかった。

「そいつは俺のすぐ、そばにいる」

「宮守」

Eさんは、目をそらしがちな宮守さんの、まさにその目をのぞき込むようにして言った。

「反応が単調になってきたな、お前。俺が、どうかしてる、と思っているだろう?もうすでに重症の電波系――そう思ってるんじゃないか?」

「まさか」

まるで心を見透かされたかのようだ。宮守さんは、あわてて友人の言葉を打ち消した。

友人の目は、今度こそ間違いなく嘲りの色を浮かべていた。

「……あー、そう思われてもしかたがないかもな。仕事は激務だ。たまに壊れるヤツもいる。それが企業ってもんだろう?しかし、な。俺の言ったことはみんな事実だ。そして俺の考えていることだって、もう察しがつくだろう?

あー、信じる信じないは自由だ。世の中には尾行されていると思い込む妄想や、誰もいないのに追跡され続けていると訴える妄想もある。それくらい俺も知っている。そういう輩の一人だと決めつけるというのなら――それもしかたないだろう。

とにかく俺は……つきまとわれているんだよ。何者とも知れない、そして目には見えない誰かに、な。さまざまなことがらから、そう結論づけざるを得ない。そいつは俺のすぐそばにいる。本当に、すぐそばに、だ。そうしてどこにでも、どこまでもついてくる。どこまでも――どこまででも、な」

……宮守さんは、勘のいい友人に内心を見透かされながらも、相談役を買って出たことを後悔し始めていた。いや、後悔していたのだ。

なるほど、友人の言ったことは、すべて事実に違いない。だが、それは彼だけの事実であり、何ら客観性をともなうものではない……。

(どうしたらいいのか。自分は、どうするべきなのか)

さしあたっては、何も浮かばなかった。彼もまた有能な技師であったが、医者ではなかったから。医療の、それも心療の心得などあるはずもない。けれども友人として宮守さんは、いつまでも黙りこくっているわけにはいかなかった。何も言わずにすますことは、できない……。

「……信じ難い話だな」

がりっ。友人の指を嚙む力が、強くなったようだ。

「あー、だろうな。お前が話せというので打ち明けたまでだ。信じる信じないは、さっきも言ったがお前の自由だ。別問題だ。どっちみち、俺がつきまとわれているということに変わりはない。俺が参っている……というのも、これでわかるだろう?こんな状態に置かれて、平常心を保てるやつがいるか?くっ、くくく……」

からっぽの笑いが続く。

「しかし、しかしだ」

宮守さんは、なおも言った。

「ひょっとしたら医者の領分かもしれないじゃあ、ないか。薬や休養で何とかなるかもしれない」

Eさんは、茫洋とした目つきで、宮守さんをじっと見つめた。

「あー、第三者というものは賢者だな。常識論は、いつでもありがたい。いや、怒ってくれるな。俺だって、こんなイタイ話、他人が打ち明けたならアッチ系だと思うさ。俺自身、最初から受け入れられたわけでもない……。身体の健康を疑い、心の健康を疑い、人為的なさまざまな可能性を疑い、そして――行き着くところに、行き着いたわけだ。実際――――――参ったよ。あー。参っちまった。あの――女。あいつは、どうしたって俺を放そうとは、しないんだ……」

「女……」

そうだ。さっきも友人は言っていた。「女」――と。

「そうだ。あの女だ」

「……その、何だ。お前につきまとっている、その何かは――女だって言っているのか?」

「あー、そうだ。何者かはわからん。しかし、女なんだ。最初は気配だけだった。その次は痕跡を残した。そして――くっ。うふっ。うふふ……」

――女が、いた

……通勤に地下鉄を利用しているEさんは、ホームで電車を待っていたのだという。

その頃には、自分のそばに「何か」がいるという確信が、酸のように彼の内面を侵し、とり憑いていた。

Eさんは、とっくに通勤ラッシュが過ぎて、利用客の少なくなったホームを力なく見回した。

そうかと思うと、ハッと肩越しに背中を見たり、また、きょろきょろと左右に視線を向けたりもするのだった。

(俺は、どうかしているのだろうか。いや、どうかしているのは、今現在、俺をとりまいている状況のほうなのだ)

彼は、そう思わずにはいられなかった。

(それにしても)

一方で、恨みを唸らずにはいられない。

(わからないのは、どういう理由で俺がこんな状況に陥ってしまったか、だ。人に恨まれる覚えなんか、ない。法に外れたふるまいをした覚えも、だ。どう考えてもわからない。祟られている?何に?それこそ何の因果で?)

Eさんは、自分にふりかかっているものの理不尽さを呪った。けれども、「何」にそれをぶつけたらいいのか見当も、つかない。それが腹立たしく、いまいましく、そうして――むしょうに………………恐ろしい。

いったい、誰が理解してくれるというのだろう?理由も、原因も、目的も、正体もわからない「何か」に、つきまとわれる恐怖というものを。

(こうしている今も、そばにいるのだろうか?こうしている今も……)

彼は、見るともなしに佇んでいるホームの下を見た。そして――。

喉の奥から、ヒキガエルそっくりの声が飛び出た。

「げえぇぇぇぇ!」

ホームの下。線路をはさんだ壁面の前に――――――女が、いた。

作業員などでは、ない。絶対に、そうではない。

薄着で、青いキャミソール系の服を着ている。影の薄い、年齢のよくわからない女であった。それが、こう、ふらり……と。壁面を背にして、そうしているのが、あたりまえのようにして……。

Eさんは、再び周囲を見回した。

ホームの下に女が立っていれば――通常なら騒ぎになるはずだ。自殺志願者でもない限り、そんな光景は目にするものでは、ない。ところがホームの他の人間も、行き来している駅員も、誰も騒ぎも何もしない。

皆、スポーツ新聞に読みふけり、あるいは所在なげに佇み、誰も女のほうを見もしなければ、指さそうともしない。ということは。

……と、いうことは?

(もしかして、俺にだけ見えているというのか?この俺だけに。この女が)

視線を戻すと女は、いつのまにか数歩分、前にやってきていた。

ややうつむいて両腕を前に、だらんとたらし。そして上目づかいに、じっと見ている。他の誰でもない――――――Eさんを見ているのだ。見つめているのだ。

肩のあたりまでのびた艶のない髪が、肉の削げた顔を半ば隠してしまっている。しかし、その白目がちの目は、髪の間から、はっきりと見てとれるのだった。

ぼこり、と目のまわりの皮が落ち窪んでいるのに、はっきりと見える。目というよりは、顔にあいた穴ぼこのようだというのに……。

――と。

………………ニぃぃぃぃ

女の唇が不自然な形でまくれ、引きつれた。

それはEさんの顔をまともにとらえながら嗤った。………………嘲り嗤ったのだ。

だだっ!

と、Eさんは、もはやそれ以上、「女」の前にいることができなかった。後ろも見ずに駆けていた。遁走――そうだ。その言葉がふさわしかった。

(今のは、何だ!?)

階段を駆け上がり、コンコースを走り抜け、通ったばかりの改札を駆け抜けた。何人か他人にぶつかり、怒声を浴びたが――すべて無視をした。かまってなど、いられなかった。

(何だったんだ!?)

気がついたときには、地上へと上がる通路の階段に座り込んでいた。息が荒い。息が切れる。それでも、たった今、見たものが脳裏から離れなかった。

(ひょっとすると、アレが――アレが、俺につきまとっている「もの」なのか?まさか、アレが――あの「女」が?)

気を落ち着けようと、タバコを求めて乱れた着衣のあちこちを探った。もう長い間禁煙をしていて、タバコなど持っていなかったにもかかわらず。

そのときだ。

にゅっ!

腰かけているEさんの足の間から、「何か」が飛び出した。

「――――――!!」

彼の両脚の間から、あの「女」の首が、のびていた。

絶叫が、女の、げたげたげたげたという笑い声に………………かき消された。

姿を消してしまったEさん

「あの女が何者なのか、見当もつかない。会ったことはもちろん、見たこともない女なんだ。ひょっとしてと思って、幼馴染みや学生時代のアルバムまでひっぱり出してみたが――無駄だった。なのに女は、俺にまとわりつき、放そうとしない。俺は……参っちまった。参っちまったんだ……」

ぽたん

テーブルの上に、赤い滴が落ちた。

宮守さんは、それを見て、ある意味――友人の話以上に戦慄した。

Eさんは、嚙んでいた指の皮を、嚙み破っていた。いつのまにか彼の右手は、真っ赤に染まっていたのだった。

ぽたぽた。ぽたん!

「E……そっ、それ――」

Eさんは、宮守さんの言葉が耳に入らないようだった。

「……で、俺は社を辞めようと思う。こんな状態じゃあ、仕事なんてできやしない。参っちまったし………………疲れた」

「でっ、でもな。そんな状態で辞めてしまったら――もっとひどいことになるんじゃないのか?」

宮守さんは、おそるおそる友人に言う。

「あー、考えてない」

友人の言葉は、おそろしいほどに、そっけない。

「それに――もうすぐ何も考えなくてすむようになる。……そんな気がするんだ。うふ。うふふ。うふふふ……」

「どういう意味だ?」

「女が」

Eさんは、ゆっくりと血のしたたる指をあげた。

………………ぽたん!

「そいつが、今も、いる。そうしてときどき、俺に話しかけてくる。あー、聞き取りにくい。でもわかる。有効な……解決方法ってやつが、な。……ふふふ。うふ」

宮守さんは、友人が血まみれの指でさしたところと、次の言葉とに、頭の後ろの毛が逆立った。

「――――――ほら。お前の肩越しに、こっちを、のぞき込んでいるじゃあ、ないか?ほら、そこだ。そこ」

……Eさんは、言葉どおり、まもなく会社を辞めた。宮守さんは、その後の彼の消息を知らない。友人は実家にも他の知り合いたちにも何も告げず、姿を消してしまったからだ。

仮にEさんの言っていたことごとがすべて本当だとして――女の正体は皆目不明だ。

そして、彼が姿を消す間際に言っていた「有効な解決方法」というものも……。

その方法が何であれ宮守さんは、しかし、友人とは二度と会えない気がしてならない。

耳鳴りが、する……

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