喉が渇いた(大阪府) | コワイハナシ47

喉が渇いた(大阪府)

同じKさんが子供の頃に体験した話。

ある日曜日、せっかくの休みだというのに熱を出して家で寝ていた。

夜、親戚のおばさんから電話があった。

「Kちゃんはちゃんと家まで帰ってこれた?」というひどく心配そうな電話だった。

電話に出た母が、息子は今日一日寝こんでいて、今も寝てますけど、と答える。

「えっ本当?Kちゃん、今日うちに来たのよ、でもそれなら良かった」と、おばさんはとても安心した声になった。

昼の一時頃だったという。掃除をしようと玄関を見るとKさんが立っている。

あら、めずらしい、いつ来たの?ひとり?お父さんかお母さんは一緒じゃないの?と尋ねると、ニコニコしながら、「おばさん、喉のどが渇いたから何か飲ませて」と言う。

遠いところひとりで来たの?早くおあがんなさい、と声をかけたが、ニコニコと笑っているだけで立ったまま動こうとしない。

それで熱いお茶を一杯差し出すと、ふぅふぅしながらゆっくりおいしそうに飲み干し、元気に「ありがとう」と言って出て行ったという。

おばさんの家は四十キロは離れている。

今まで用事もないのに来たこともなければ、ひとりで来たこともない。

それが突然玄関にいるし、「何か飲ませて」としか言わないし……。

……もしかして、と悩んだ挙句に電話をかけたのだという。

翌日学校へ行くと、「お前、昨日何しに来たんだ?」と仲のいい友だちに怒られた。

昼の一時頃、ガンガンと玄関の戸をたたく者がいる。誰だろうと開けるとK君が立っている。

「喉渇いてるんや。何か飲ませてよ」と言う。

「中で飲めばいいだろ、せっかく来たんだから上がっていけよ、一緒に遊ぼう」と言ったのに、「それより喉渇いてるんや、何か飲ませてよ」を繰り返して、玄関から動かない。

仕方ないので水道の水をコップに入れて差し出すと、「なんだ水か」といって一気に飲み干して、じゃあと帰っていった。

水ぐらい自分の家で飲めよ、と友だちは腹が立ったのだという。

この友だちの家はすぐ近くだった。

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