グランドオープン(千葉県) | コワイハナシ47

グランドオープン(千葉県)

およそ二〇年前に開店した千葉県の某ショッピングモールのこと。

間もなくグランドオープンというときに、そこの社長が一人っきりで視察に訪れた。

深夜に忍んでのことだった。いつものように家に送るものと思っていた社長付きの運転手は、突然の行き先変更に驚きながらも理解を示してこう言った。

「いよいよ、ですものね」

企画発案からここまでの道程は長く険しいもので、運転手すらその苦労を察していたのだ。大勢の汗と涙が結実してついに完成した──と、社長は感動を噛みしめながら、暗いエントランスに足を踏み入れた。

エントランスの内側は、二階にバルコニーを張りめぐらせた吹き抜けのホールだ。四方から視線を感じ、不審に思いながら急いで照明のスイッチを入れた、その直後、

「おめでとうございます!グランドオープン万歳!」

割れんばかりの大きな歓声が弾けた。

バルコニーに人が鈴なりだ。一階のホールの周囲にも大勢の人々がいて、皆で一斉に歓呼の声をあげている。「おめでとうございます!」「万歳!」「万歳!」……。

呆気にとられていると、群衆は皆一斉に社長に向かってお辞儀をして、頭を下げた格好のままスーッと消えていった。

社長は感無量で、泣きながら家路についたとのこと。

彼のショッピングモールは今でも繁盛している。

あの大勢の不思議な人々が、生霊だったのか精霊だったのか、確たる心あたりがあるわけではないけれど、彼らが事業を手伝ってくれているお陰で、今日まで成功しているのだと社長は思っているのだという。

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