地蔵盆の夜に(大阪府) | コワイハナシ47

地蔵盆の夜に(大阪府)

私が住んでいる町内には、二体の地蔵尊が祀られている。

一つは「焼け跡地蔵」と呼ばれている、空襲後の焼け跡から掘り出された地蔵尊で、もう一体は空襲時に忽然と路中に現れて、身を挺して爆風から逃げ惑う人を庇ったという話と、お堂の場所で風向きが変わり、避難してきた人たちが炎に巻かれず助かったという話が伝わっている地蔵尊だ。

うちの町内は子供会が地蔵尊を守り、地蔵盆を取り仕切っている。

三年ほど前、近所の公民会での集まりで、地蔵盆でどんな屋台を出そうかと話しあっていた時、内科医のTさんから、こんな話を聞いた。

「私、実はここでお祀りしているお地蔵さんが嗤ったのを聞いたことあるんです。幼稚園に通っていた頃、地蔵堂でかくれんぼしていたら、急にお堂の中から、あーっはっはっと嗤い声が聞こえてきて。隠れているのに煩いなあと思って顔出してお地蔵さん見てたら、しばらくしたら知らんおばさんが来てね、お堂の前でパアン!と手を叩いたんです。

そしたらピタリとお地蔵さんの嗤い声が収まったんです。あの時は子供だったから、お地蔵さんが嗤ってたの不思議に感じなかったんですが、大きくなるとちょっと怖く感じてね。

小学生時代は、地蔵堂の前は足早に走って見ないようにしてたんですよ。

でも、なんか昔話みたいでええかなって大きくなってきたら思えてきて、今は大事なお地蔵さんやから世話もちゃんとせなって思ってます」

地蔵堂は公園の片隅にあり、子供が隠れる格好の場所になっていて、私の子も公園でかくれんぼをする時には、そこによく隠れている。

私も子も今のところ地蔵尊の嗤い声を聞いたことはないけれど、いつも静かに微笑んでいらして、何か言いたげな口元をしている。

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