のびあがり狸(岡山県) | コワイハナシ47

のびあがり狸(岡山県)

岡山県の誠さんが高校一年生の一〇月頃、夜、蒲団で眠っていたら、急に眩しくなって目が覚めてしまった。見れば、窓の向こうに青白く輝くものがあるようだ。

頭が丸く、尾の先に向かうに従って細くなる《のびあがり》のような形をしている。

小学生の頃に読んでいた水木しげるの漫画に登場したそういう名前の妖怪が、ちょうどあんな格好をしていた。

丸くなった先端に大きな目が一つあって、空を飛ぶのだ。

窓の外の青白く光るものも宙を飛んでいる。搗きたての餅のようにグニョ~ンと曲がったり伸び縮みしたりしながら、窓の外を右から左へ移動していく……。

部屋の窓には磨りガラスが嵌っているので、およその形と光しかわからない。

誠さんは思い切って窓を開けた。

すると光がたちまち消えて、月明かりに照らされた地面に一匹の狸が四つの肢でスックと立っていた。

狸と目が合った。たっぷり一呼吸するほどの間、誠さんと狸は黙って見つめ合った。

明るい満月の晩で、狸の背は銀色に艶々として見えた。

真っ黒な、やけに思慮深そうな瞳で穴のあくほどこっちを見つめていると思ったら、パッとお尻を向けて闇の中へ逃げていった。

ガサガサと遠くで藪が鳴る音がした。誠さんは窓を閉めた。

翌朝このことを母に話したが、「何言いよん!」と、少しも取り合ってもらえなかった。

シェアする

フォローする